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第591回 牙をむく環境汚染−その4:政府の大気汚染対応
(2013年10月15日)
すさまじい環境汚染に対し、政府はどんな手を打っているのでしょうか。大気汚染については、前回述べた自動車燃料の品質基準引き上げプランもその一つですが、まず、現時点で3分の2近い都市がクリア出来ていない大気の2級基準を2030年にすべての都市で達成することを目標に、2013年中に全国116都市に観測地点を440ヶ所設け、全部で190都市950ヶ所近くとする方針が打ち出されました。PM2.5については、同年中に113ヶ所の都市での観測を行うことにしました。2013年2月からは毎月、前月の空気汚染ワーストテンが発表されるようになり(1月は邢台・石家庄・保定・邯鄲・廊坊・衡水・済南・唐山・北京・鄭州)、また、同月、環境保護部は、19の一級行政区の六大重汚染産業(火力発電・鉄鋼・石油化学・セメント・非鉄金属・化学工業)および石炭燃焼工業炉の新規プロジェクトと上記の内、セメント・非鉄金属以外の現有プロジェクトに対し大気汚染特別排出制限値を3月から、47の地方級市の主要都市部には7月から適用することを決めました。更に<環境空気細顆粒物汚染対策技術政策(試行)>のたたき台が公表され、汚染微粒子が観測体制に組み込まれることになり、華北(北京・天津・河北)、長江デルタ・珠江デルタ・山東諸都市では石炭消費に総量規制がかけられることになりました。石炭消費と言えば火力発電所。長江下流では30キロ毎に火力発電所があり、黄河中下流域でも高速道路や鉄道から頻繁に目に止まります。すぐにはなくせない火力発電所対策として脱硝(窒素酸化物“NOx”)除去)設備の改善が緊急項目に上っていますが、それには全国で1000億元かかると試算され、政府は年間100億元以上の補助を行う方針を決めました。
地方でも様々な取り組みが始まっています。例えば北京市は石炭消費規制・自動車排ガス規制・降塵対策・排出削減を4本柱にし、自動車の排気ガスについては、2月から排出基準を国Ⅳより40%厳しくした京Ⅴを施行、1300種余りの合格車種を発表しました。更に春節には洗濯・洗車指数以外に三段階の爆竹燃焼気象指数なるものも登場し、その予報に合わせて爆竹の使用を制限することにしました。 ただ、北京のPM2.5にしろ、平均25%は他地域からの流入と言われ、既に北京・天津・河北で協力がスタートしているように、行政区画を超えた広域連携が必要なことは言うまでもありません。