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 第596回 中国と朝鮮半島—その2—

(2013年11月21日)

2013年1月、大統領選挙を目前に控えた朴槿恵氏は中国に特使を派遣、中韓関係重視の姿勢を示しました。中韓の貿易額は92年の国交樹立時に比べ50倍、2500億ドルに拡大、中国にとってはドイツ・イギリスとの総和に匹敵する第三の貿易パートナー、韓国にとっては最大のパートナーになっています。中国でも韓流はブームになっています。
6月下旬の朴大統領訪中前には両国の軍幹部が会談を行い、朝鮮半島の安全保障問題について合意に達し、なおかつ韓国側はこれまでの外交姿勢をアメリカ偏重と捉え、修正する姿勢を示しました。これは中朝関係の変化とも連動した動きです。
訪中時、朴大統領は中国側から最大級のもてなしを受けました。人民日報にはページ全面を使った歓迎広告が何面も連なり、書店には大統領の自伝が山積みにされ、習近平主席とは合計7時間以上の対話が行われ、中韓蜜月時代が演出されました。日本には拒否した通貨協定延長も中国とは合意、中韓FTA締結に向けた積極姿勢を鮮明にしました。2012年の韓国の輸出総額は対米の2倍、対日の3倍で、中国としても韓国を自国経済圏に取り込むチャンスと言えそうですが、一方で、韓国にとってはのめり込み過ぎて進退の自由が制限される危険も付きまといます。中国企業が力をつけて韓国企業を追い上げ、一部ではその市場を奪いつつある中、高級化路線への転換がうまくいかなければ、中国経済への依存度が強いほど韓国経済の先行きに不安が生じてしまいます。 
対日では歴史認識や領土問題について共闘姿勢を鮮明にしたものの、韓国にとってはアメリカとの同盟関係に影響が及ぶ問題でもあり、中国に全く同調するわけにもいきません。その一方では安重根の石碑をハルビン駅に建てるよう中国側に求め、中国側も対処に苦慮する問題を抱え込むことになりました。従軍慰安婦の像についても同様ですが、一度建てれば、その撤去が外交問題にさえなり得るという厄介な問題をしょい込むことになるからです。
こうした動きの一方で、TPP、RCEP、日中韓FTAが三つ巴となっての新東アジア経済圏構築への駆け引きは激しさを増す一方で、日中韓FTAを先行させたい中韓両国にとって日本との経済面での関係改善は不可欠で、米中のはざまに立つ韓国のかじ取りは一層厳しいものになりそうです。

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