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 第597回 減負

(2013年11月25日)

年初、内モンゴル自治区フフホト市で、ある中学の特修クラス1年生が、学年順位が急落したことを苦に飛び降り自殺し議論が巻き起こりましたが、人民日報『微博』には「99点でも9+4=15と答えたら怒るさ」「今の教育体制だったら点数が全て。何を言っても無駄」と言う意見も。湖北省来鳳県のある私立中学が、精華大学に合格した生徒のために封建時代の科挙合格さながら街をパレードし、彫像まで設置したのは極端にしても、学校側が特修班・補習班を設置し、膨大な宿題を課したり、保護者が子供に様々な検定テストや習い事を強いる現状、激しくなる学校選びの風潮は中国全土で大きな社会問題になっています。
過重な負担は児童生徒の健康を蝕み、この10年で小学生の近視率は20%から40%に倍加、中学生は67%にも達しています。80%の生徒が日常的に睡眠不足で、運動不足が原因の肥満は6-15歳で女子が21.5%、男子は32.3%に達しました。 
こういった実情は政府にも衝撃を与えています。2013年4月、教育部は「減負万里行」キャンペーンを発動しました。各地域や学校の負担軽減努力を調査し、問題があれば公にし、処分するというものです。「高い点数を取るのがいい生徒で、進学率が高いのがいい学校だ、と言う考えは過去のものに」と言う姿勢は、<小中学校教育内容総合評価改革推進に関する意見>として6月に教育部から打ち出され、「品徳の涵養」「学業の進歩」「心身の鍛錬」「興味特技の育成」「学業負担状況」という5つの側面、20の重要指標によって新しい“緑色評価”システムを打ち立てる方針が明示されました。教育部はまた8月に<小学生減負十条規定草案>(①入学の公正化②クラス編成の平等化③1年生は基礎から④紙ベースの宿題禁止⑤1-3年生は学年統一試験禁止。4年生以上は語文・数学・外国語のみ可⑥点数評価はせず、“优秀・良好・合格・待合格”に⑦補助教材は1科目に1つ。希望購入制に⑧補習禁止⑨毎日1時間体操⑩行政によるチェックの強化)についてパブリックコメントを実施しました。
その一方、年初に北京市が減負<京八条>を打ち出したところ、学習企業の株が急上昇しました。今後5-10年、全国の小中高校の潜在学習市場規模は3000億元、毎年の参加生徒児童数は延べ1億人とも。何しろ大中都市では90%以上が塾通い、と言うのですから、保護者もゆとり教育に対し心中穏やかではいられません。

三瀦先生のコラム