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 第598回 農村再発見

(2013年12月02日)

 2013年3月18日、江蘇省江陰市華西村元書記呉仁宝氏が亡くなりました。享年86歳。周知の如く氏は村の指導者として40年以上も活躍、ありふれた農村を年総生産額500億元余りという裕福な村に発展させ、全国さらに海外からも大変注目を浴びました。
このように改革開放路線による経済発展は中国の農村にも巨大な変革をもたらしましたが、津波のように押し寄せる“城市化”(都市化)、“城郷結合”(都市と農村の結合)は近代化と生活レベルの向上をもたらす一方、農村の伝統文化の破壊や空洞化をももたらしています。
今、全国で問題になっているのが“空心村”で、都市化や工業化で農村の資金や労働力が流出し、農業生産が急速に落ち込み、伝統的な農村が衰退していく現象です。甘粛省のある農村では、村の労働者400人余りの内300人が出稼ぎに。村には若者の姿がほとんどなく、学校もないため子供は都会の学校へ行き、農家20軒の部落では、実際に残っている6〜7軒が耕作を請け負っている状態です。その結果、中国科学院の推測では、従来の農業地域の3〜4分の一が“空心化”に直面し、2012年の出稼ぎ労働者1.6億人と言う数字から考えると、少なくとも1.14億ムー余りの土地が宙に浮いている可能性があります。安易な都市化と都市と農村の不平等、また、抜本的な農村政策の欠如が、農村の産業の未発達、人材不足、留守家族問題、伝統の断絶に繋がっているのです。 
最近、人民日報によく“美丽乡村”(美しい農村)と言う語を見かけるようになりました。何をもって「美しい」と言うのか記事を探ってみると、「自然環境」「衛生環境」「生活の近代化」「主要産業の育成」といったキーワードが浮かび上がってきます。財政部は2013年から<美丽乡村>建設実験区を指定、村の公益事業に対する中央財政からの補助を始めました。河北省も15の活動項目を決め、3年間で5万か所の「自然環境」「衛生環境」に優れた“美丽乡村”を建設すると発表しました。
伝統的な集落の保存も大事なテーマ。政府の関連部門は共同で2012年に全国伝統農村徹底調査を完了、専門委員会で伝統村落リストを整備し、まず646ヶ所の重要保護村落を指定、2013年8月には第2陣915村落が指定されました。最近何カ月にもわたり人民日報に「美丽中国-寻找最美乡村」シリーズが掲載されています。そう、今ならまだ間に合う!

三瀦先生のコラム