トップ > 現代中国放大鏡
LastUpdate:
第599回 中国シルクロード外交
(2013年12月09日)
「2000年余り前に先人が切り開いたシルクロードはユーラシア人民共通の栄誉です。今日、われわれは歴史と伝統の恵みを汲み上げ、信念を持ち、道を拓き、ともに手を携え、再びシルクロードの新しい輝きを創り出し、ユーラシア人民の明るい未来をともに造りあげようではありませんか」。これは、2012年9月2日、当時の温家宝首相が、新疆ウイグル自治区ウルムチで開催された第2回中国-ユーラシア博覧会で<シルクロードに再び輝きを>と題した講演を行った時の結びの言葉です。この博覧会には、従来の中央アジアを中心としたメンバーに加え、オランダ、イタリア、アイルランドといったヨーロッパの国、インド、ブラジル、南アフリカといったBRICSのメンバー、また、アメリカ、オーストラリアに南米のチリ、ウルグアイを加え、10カ国が新たに参加しました。
年が明けた2013年1月20日、中国の電化製品を満載した中国−ポーランド鉄道コンテナ第一便がポーランドの都市ウッチに到着しました。12月18日に四川省成都を出発した同列車は、船便なら1か月余りかかる両国間を陸路1万キロ余り、15日間でカザフスタン、ロシア、ベラルーシを走破しました。これは、2011年11月に開通し、重慶市とドイツのデュイスブルクを結んだ“渝新欧”国際貨物列車に継ぐ、ユーラシア大陸を横断する第2の鉄道輸送ラインになります。その“渝新欧”国際貨物列車は2013年3月18日にEUの貨物を積んだ初めての列車が重慶に到着、大動脈としての機能を常態化させました。また、7月には河南省鄭州からドイツのハンブルグへ向かう初のコンテナ車も運行しました。
こうした動きの元になっているのが汎アジア鉄道構想です。2006年に韓国の釜山でアジア18カ国が集まって調印した<アジア鉄道網政府間協定>がそれで、そのうちの北路には、モンゴル共和国から中国の吉林省を縦断し、図們江から日本海へ抜けるルートや朝鮮半島を下るルートも想定され、また、南方で構想された雲南省の昆明からバンコクへ向かう3本の鉄道(東線・中線・西線)の国内部分の建設はその後精力的に進められており、東線の国内部分が2014年中に完工予定です。着々と全方位国際物流ルートの整備を進める中国。2013年9月7日、習近平国家主席はカザフスタンのナザルバエフ大学で講演し、「ともにシルクロード経済ベルトを建設しよう」と、各国との経済関係の一層の緊密化を呼びかけました。