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第603回 消費者の権益保護
(2014年01月20日)
全国消費者協会による2012年消費者苦情相談統計データによれば、問い合わせ者数は延べ215万人、苦情受理件数54万3000件、倍額賠償獲得件数7213件、販売サービスに関する案件は3.9万件(前年比28.5%増)で、うちネット販売は2.04万件(52.4%)、家電ではアフターサービスに関する苦情が2.3万件でトップ、品質の問題がそれに続いています。
2013年上半期は消費者の権益保護がクローズアップされ、「年越しの宴会は1テーブル1688元以上」(長沙の例)などと言う「最低消費」ルールの横行や「アップルのアフターサービスが中国内外で違う」と言った問題が紙面を賑わしました。消費者の高まる権利意識を背景に、政府は同年4月の全人代常務会議で、1993年に制定された消費者権益保護法を20年ぶりに改定する修正草案の審議を開始し、9月には第2次修正案のパブリックコメントを始め、10月25日には採択されて、2014年3月15日から正式に施行されることになりました。
その主な内容:①自動車・パソコン・各種家電などで、消費者が商品を受け取ってから6ヶ月以内に問題が生じた場合は、経営者側が立証責任を負い、消費者の負担を軽減。②受け取った商品の質が条件を満たしていない場合、約定が無くても7日以内は返品でき、それ以上でも約定があれば返品可、無い場合は交換や修理を要求できる。返送費用は経営者側が負担。③ネット、テレビ、電話、郵便など通信販売では、7日以内は理由を説明せず返品できるが(オーダーメイド、生鮮食料品、ダウンロードしたもの、開封したAV製品、パソコンソフトやデジタル商品は対象外)、返送費用は消費者負担。④経営者側は消費者の権利侵害、過重な責任の押しつけ、事故の責任回避といった記載条項や告示などをしてはならない。⑤通信手段による販売や証券・保険・銀行などの金融サービス経営者は事業所の所在地、連絡方法、その他必要な情報(アフターサービス、民事責任など)を明示し、また、顧客の個人情報の収集・使用・秘密保持の規定を順守すること。⑥消費者の生命や健康に関わる虚偽の広告に関しては、広告企業だけでなく掲載業者も連帯責任を負う。⑦消費者協会は政府主導で設立された公益団体であるため、「社会団体」ではなく「社会組織」と定義づけ、必要経費を支給すること、消費者の合法的権益の侵害に対し公益訴訟を起こす権利も付与。ただ、これ以外の消費者組織をいかに育成するかが、今後の課題となりそうです。