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第621回 さらに進む港湾整備−その1−
(2014年05月26日)
2011年にコンテナ取扱量が3000万ケース(TEU:20フィートコンテナ換算) の大台を超え、世界記録を樹立したのは上海港。同年の主要港湾コンテナ取扱量は1.63 TEUと、前年比11.8%の伸びを示しましたが、 欧米の需要低迷による輸出不振への対応、船舶の大型化に対する港湾設備のグレードアップ、港湾設備の過剰整理と効果的再配置など問題も山積しています。政府は、海外貿易でのコンテナ輸送の低迷と国内コンテナ輸送の増加傾向を視野にスクラップアンドビルドを強力に推進し、2013年8月には<船舶工業構造調整加速・モデルチェンジグレードアップ促進実施プラン>を発して船舶の技術水準を向上させ船隊の編成内容を高める目標を掲げました。その背景が同年10月に出された<生産能力の深刻な過剰解決に関する国務院の意見>であることは言うまでもありません。こういった方針に呼応し、例えば大連市は2014年4月、既に<大連市船舶工業構造調整加速・モデルチェンジグレードアップ促進実施細則>制定について検討に入っています。
各港湾の具体的な動きも活発です。北部の港湾では、2011年に世界第4位に躍進し、2012年に開港60周年を迎えた天津港が2013年の年間吞吐量で5億トンを突破、また、2014年1月1日には国内初の大型船と小型船に分けた複式航路の運用を開始しました。河北省では、吞吐量が1億トンを超えている曹妃甸港で2013年7月に南北コンテナ船舶幹線輸送路が開通、2012年にやはり吞吐量1億トンを超えている黄驊港がコンテナ取り扱い量も10万TEUを突破、2013年7月には20万トン級の鉄鉱石用バースが検査を通り、後背地域の鉄鋼業の需要を満たすことが可能になりました。
また遼寧省の港湾群(大連と営口を中心に丹東・錦州・盤錦・葫蘆島等で構成)は、内蒙古の海への出口であるとともに、全体が東北経済のバロメーターと言われ、東北地区の85%以上の海運貨物を取り扱っており、外国貿易関係の貨物に至っては90%以上を担っていて、2013年も、海外貿易吞吐量は10%以上、コンテナ吞吐量も20%以上の伸びを示しました。既に年間吞吐量5億トン(2012年)を突破している営口港は、国内水運でも2012年から広州の南沙港へ毎日コンテナ船が運行するようになり、満1年で103.2万TEUを達成、更に2ケタの伸びを示す勢いを示しています。