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第622回 さらに進む港湾整備−その2−
(2014年06月02日)
河北省から南へ下ると山東省。この半島には煙台・青島・日照などの大港が数珠繋ぎになっています。中でも青島港の発展は目をみはるばかりで、2013年には吞吐量が上半期だけで前年を上回る2.3億トンに達しました。同港は2012年に新たな保税港区が始動し、保税港区面積は5.44㎢と全国3位に躍進、2013年には30万トン級の鉱石運搬船が着岸できる世界最大の波止場が完成、更に第4世代物流港へのグレードアップ計画も推進されています。日照港も負けていません。2011年に吞吐量が2.5億トンを突破した同港は周辺産業群との連携に注力し、鉄鉱石・大豆・チップの輸入では全国一という利点を生かし、関連産業の育成による産業チェーンの形成を進め、輸出面でも原材料輸出港から工業製品輸出港へのモデルチェンジを果たしつつあり、2013年には年間吞吐量が3億トンを突破して世界第12位に躍進しました。
さらに南下すると2005年以来、世界一の座に君臨する上海港があります。年間吞吐量は7億トンを超え、国際的な水運センターになっていますが、今、その目標は輸送量だけではなく、世界の資源を配置する能力を備えたセンターになること。例えば、「ロンドンは吞吐量で言えば世界のベストテンに入っていないが、国際水運での発言権や市場のシェアでは上海をはるかに上回っている」「上海は“ハードの中心”だが、ロンドンは“ソフトの中心”だ。“ソフトの中心”のほうが持続性が高い」というのは、上海航運取引所をロンドンバルチック海運取引所のように育成したい、という願いの表れで、国と一体となった整備計画がここ数年急ピッチで進んでいます。
南部沿海地区でも各港の発展と整備が続いています。厦門港では第4世代全自動積み下ろしシステムの導入が決まり、2004年以来、CEPA(内地・香港経済貿易緊密化協定)の恩恵を受けた深圳港は、年平均20%近い成長を続けています。広西チワン族自治区の防城港では、2012年に、国の鉄鋼業調整振興計画と西部大開発の重要プロジェクトとして史上最大規模の<防城港鉄鋼基地プロジェクト>(年産鉄850万トン、鋼920万トン、鋼材860万トンなど総計1000万トン規模)がスタートしています。同自治区では西江黄金水道の整備も進み、貴港などの中継港が地元産業の積み出し港としての機能を具えつつあります。