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第624回 自動車市場、新しい動き—その2−
(2014年06月16日)
2〜4月の日産とトヨタの販売内容を見てみると、日産は中国人の好みに合わせたセダン「シルフィ」「ティアナ」や中国向けの「ヴェヌーシア」、更に3月末に新型車を投入したSUV「エクストレイル」も好調。トヨタは、2013年11月から115万円前後と価格を下げて投入した新型小型車「ヴィオス」「ヤリス」が実績を上げ、2013年8月にリニューアルしたSUVの「RAV4」も好調でした。一方、ホンダはSUVの人気を背にした「CR−V」、セダン「クラウダー」は好調でしたが、セダン「アコード」は13年9月に新型仕様車を投入したにもかかわらず、34.3%減、「フィット」「シティ」「オデッセイ」などもマイナスになり、新型の「フィット」投入を前に従来車の生産を抑制したことも響いたようです。
これが5月になると一変したのは、日産は中国経済の減速が商用車の販売減につながり、またトヨタは6月の新型車投入に向けた、従来のドル箱「カローラ」の受注停止が響いている模様で、一方、ホンダの回復は中国向け中価格車「クラウダー」「ジェイド」の好調が貢献しようです。めまぐるしい動きの要因には、価格の設定、新型車の投入、車種の構成が大きな要因となっていることがわかります。各社とも、6月、9月等にはまた従来車からの転換をうかがっているわけで、こういった要素による月ごとの数字もさることながら、年間を通した戦略がどう動いているのかをもっとよく見る必要があります。
問題は消費者のニーズです。まず第一に、消費者の若年化が挙げられます。小型のSUV人気が沸騰しているのはその証左と言えましょう。重要な点はこの動きに連れて車に対する考え方がステータスや見栄から、実用性、利便性へと転換しつつあることで、そうなると、価格の安さも大きなポイントになります。ホンダの「アコード」が不調なのも、トヨタの格安小型車が売れ行き好調なのも、その表れと言えましょう。したがって、最近では中古車販売も急成長で、2012年時点で販売額は3595億元に達し、北京では新車の販売台数を凌駕しました。上記日系各社も中古車販売に力を入れ、新車販売における下取りシステムの整備を急いでおり、今後は価格設定などの透明性が勝負になって来るでしょう。中古車市場が先進国並みに新車市場を上回るにはまだ5年ほどかかると言われていますが、2013年の800万台という実績が急伸していくことは疑い有りません。