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第625回 自動車市場、新しい動き—その3−
(2014年06月23日)
日本以外の企業の動向はどうでしょうか。上海自由貿易試験区で外資による独資の自動車メーカー解禁が予定され、いずれ全国にも広がるであろう状況の下で、中国系企業はどう戦うのでしょうか。2013年1月にボルボと商用車で提携し、主導権を握った東風は、2014年2月には、フランスのプジョーシトロエングループへの資本参加を発表しました。こうして外資系企業の技術を手に入れ、海外市場も開拓しようというのです。東風はこれを契機に共同開発センターを中国に設置する予定で、レベルの高い小型車製造技術の獲得と主に、需要の高まるエコカー開発へ向けた重要な一手ともいえます。
吉利・奇瑞・BYDなど中国独自ブランドを掲げるメーカーは2014年に入り、売り上げが前年同期比30〜40%減少しました。習近平政権が市場化を進める中、自動車購入に関する補助金の縮小、外資系企業に対する規制緩和、それに主な輸出先である新興市場諸国の先行き不安、ウクライナ情勢などが影を差しています。公用車を国産車にと言った動きもありますが、政府の庇護や外資系企業との提携による技術導入ばかりに頼らず、自ら独自の技術開発に取り組む気概も持たないと、目先の数字に追われてじり貧になりかねません。
ただ、一方で、PM2.5の元凶に数えられる車の排ガスを解消すべく、政府はHV車にも現地生産車に1.5万元の補助を2015年から開始する予定で、エコカーに対する需要は待ったなし。自主開発だけでは到底追いつけず、この面で優れた技術を持つ日本をはじめとする欧米各社との提携が不可欠。すでにVWは2016年からPHVとEVの生産を中国で始める予定で、傘下のアウディも第一汽車とPHV車の生産・販売で提携することを発表、いち早くエコカー市場を取り込もうと狙いを定めています。GMも上海汽車とEVの共同生産・開発に乗り出していますし、環境対応車で世界をリードする日本勢も虎視眈々です。トヨタ、ホンダなどはすでに広州汽車や東風と組んでHV車の生産に名乗りを上げています。
ただ、環境対応車の普及はまだ緒に着いたばかり。2013年9月の政府計画では、2013年-2015年に普及を進め、環渤海湾、長江デルタ、珠江デルタなど大気汚染が深刻な地域では累計で1万台以上、他の地域で累計5000台以上を普及させるとのこと。2020年までには合計500万台を目論んでいますが、特許の保護や充電スタンドの整備など難問も残されています。