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 第630回 待ったなしの老人対策−その2−

(2014年07月28日)

2013年7月、修訂<老年人権益保護法>が施行され、その第8条では「老齢者と別居している家族は常時老齢者に気を配り、ご機嫌伺いをすること」「雇用者側は国の関連規定に基づき、里帰り休暇の権利を保障すること」とし、第26条では、「民事行為能力を喪失した時に備え、事前に後見人を指名しておくことも可能」になりました。法整備の一方、問題になのがサービスの内容。老人ホームは一体どんな問題を抱えているのでしょう。
“公办的等不起,民办的住不起”(公立は環境もよく費用も安いがベッド不足、私立は多くが施設設備が貧弱でリハビリ機能はほとんどなく、多くの空きベッドが)。「老人用施設のベッド数が国際水準(5ベッド/100名)に対し2.5ベッドと半分しかないのに多くの空きベッドがある」と言うのは「ニーズを満たすベッド数は更に少ない」ということです。では在宅介護はというと、まだ一部で始まったばかりで、施設もサービス内容も限られており、管理・サポート機関も不備。社区(地域コミュニティ)の介護者は専門知識に乏しく、報酬が少ないため人員も集まらない。これでは多くの老人が途方に暮れるのも無理はありません。
こうした状況を打破すべく、政府は直営からサービス買い上げへ方向転換、「民間が行い政府は援助、政府が建設し民間が運営」と民間活力導入を柱に据えました。北京市は2013年秋、<養老サービス業発展を加速推進するための北京市人民政府の意見>と<養老機構建設加速に関する実施規則>を打ち出し、2020年には4ベッド/100名を実現する目標を掲げました。ただ、上述の如く、これらの措置はサービス内容の充実が必須条件。
中国の養老サービス市場ニーズは2014年で年間6000億元と言われていますが、実際に提供されているのは1000億元未満。しかもほとんど中小企業ばかりで産業チェーンも形成されておらず、効果も限定的です。何を市場化すべきか、何は公益慈善事業とすべきか、まずその見極めから手を付けるべきでしょう。少しでも状況を改善しようと、寿命の延びを理由に定年延長も本格的に模索されています。また、、四川省成都市では55歳以上の元気なボランティア2万人余りによる老老介護制度などの工夫も始まっています。“一怕做饭,二怕生病,三怕孤单”(食事と病気と孤独)という老人の抱える問題をどう解決するか、超高齢化社会を目の前に必死の模索が始まっています。

三瀦先生のコラム