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 第634回 “非物質文化遺産”の継承

(2014年09月01日)

2012年8月の529号で<少数民族文化の保存と継承>を非物質文化遺産継承の観点から取り上げました。それからちょうど2年、本格的な取り組みがどのように進展したかを検証してみましょう。
中国での非物質文化遺産保護は、2001年5月に世界で最初に認定された<人類の口頭及び非物質文化遺産代表作>に昆曲が組み込まれたのが端緒で、2004年にはユネスコの<非物質文化遺産保護条約>に加盟、2011年6月に<中華人民共和国非物質文化遺産法>が実施されました。ところが、こういった取り組みと平行して、農村の歴史や文化・伝統の破壊が急速に進行しました。民生部の統計によれば、2002−2012年の10年間に中国の自然村は360万か所から270万か所へと90万か所、実に4分の一が消滅しました。当然その中には古い歴史や伝統・伝承を保持していた村が少なくありません。 
そこで政府は、まず、全国的に調査を行って非物質文化遺産の現状を把握し、その数や淵源・歴史・発展プロセス・伝承者・保護の現状などを調査し、保護プラン・保護システムの作成、伝承者リストの公開に取り組みました。例えば、2012年から毎年6月に60名の<中華非物質文化遺産伝承者薪伝賞>受賞者が選出されるようになりましたが、2014年6月には第三回目として新規60名が発表されると共に、初の<中華非物質文化遺産保護貢献賞>が中国泛海ホールディングス、BMW(中国)、華晨の3社に送られました。
また、国レベルの文化生態保護実験区も設立され、豊かな資源と多様性の保護に努めるとともに、本来の面目を保ちつつ、どう発展させるか、様々な工夫が始まっています。例えば、海南の黎錦は黎族が3000年以上伝えてきた中国紡績市場の「生きた化石」とも言われるものですが、産業として継続させるには税法上での優遇措置が欠かせません。
現在、中国には国レベルで1219の項目と2686ヶ所の保護単位がありますが、政府はより効果的に保護するため、2013年から、これに調整を加え、改めて認定しなおす手続きも行っています。2013年6月には、四川省の成都で第4回成都国際非物質文化遺産フェスティバルが開催され、ユネスコ<非物質文化遺産保護条約>締結国中107か国が参加、1000もの項目が一堂に会し、世界の非物質文化保護へ向けた新指導綱領<成都展望>が採択されています。

三瀦先生のコラム