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第636回 資源・エネルギーの動向−その2−
(2014年09月16日)
化石燃料における動向で最も注目されているのが海外依存度の増加です。既に2011年に世界第4位の消費国になった液化天然ガスは、第12次5カ年計画末の2015年には中国エネルギー消費の8%に達すると予測されていますが、その3分の一は輸入頼み。また、石油対外依存度も2005年時では42.9%だったのが2012年には56.4%と過半数を超えています。
こうした中、国外からの輸送パイプラインの建設に拍車がかかっています。例えば、天然ガスパイプラインとして全長8704キロを誇る世界最長の“西气东输二线”「西部の天然ガスを東部に送る第2パイプライン」は中国初の国外天然ガス導入ラインで、カザフスタン国境のコルゴスから上海へ、また広州・香港までも続き、中国全土23省区300都市に及んでいます。総投資額14224億元、設計輸送能力300億㎥のこのパイプラインによる天然ガスは石炭1.075億トン分を代替し、二酸化炭素1.82億トン分、二酸化硫黄201.6万トン分を排出削減、更に粉塵も92.4万トン削減というのですから、大気汚染に悩む中国にとってその意義は小さくありません。
中国・ミャンマー石油天然ガスパイプラインの建設も進んでいます。2013年には天然ガス部分793kmが開通(120億㎥/年)し、2014年には石油部分771kmも開通(2200万トン/年)しました。天然ガスはミャンマーから雲南省の端麗に至り、そこから雲南省省都の昆明、貴州省省都の貴陽に至って“西气东输线”と合体します。石油は貴陽を経て重慶まで。
このラインが稼働することで、中国は従来のマラッカ海峡を通るリスクを逃れることができ、安全保障上で有利な位置に立つことができます。この他にも、2013年には、中ロ漠河-大慶原油パイプライン拡張工事も着工されています。
最後に最近の原子力発電の動向を。2013年以降、中国では東北初の遼寧省紅沿河原子力発電所1号機が発電を開始、また、中国初の欧州加圧水型原子炉(ERP)第3世代原子力発電所、台山原子力発電所第一期工事も進められました。第2世代原子力発電の国産化率は85%に達し、自主設計と豪語する第3世代原子力発電技術ACP1000も検定をパス、濃縮ウラン技術も国産化した、と発表しています。2015年には、広西チワン族自治区防城港に西部直初の原子力発電所も建設され、内陸部での建設も検討が再開されている模様です。