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 第637回 EU諸国と中国

(2014年09月22日)

2014年4月3日、人民日報は、“一桥飞架中欧−记习近平主席欧洲之行”という記事を2面全面に掲載し、「3月22日に北京を出発、オランダでの核保安サミットに出席後、フランスを訪問、ユネスコ総本部を訪れ、その後ドイツへ向かい、更にベルギーへ足を延ばしてEU本部へ顔を出し、4月2日に帰国した」習近平欧州歴訪地図も提示されました。
同記事は冒頭で「ユーラシアンランドブリッジの一方の端は中国、一方の端はヨーロッパだ。中国にヨーロッパを加えれば、世界の人口の4分の1、経済総量の3分の1になる」「2014年の中国外交はソチオリンピックで幕を開け、今回の欧州訪問が第一幕だ」と書いています。
4カ国、2本部を訪れた11日間、84回に及ぶ行事は、中国と欧州の関係強化を印象付けましたが、今回訪問したフランス、ドイツ、オランダなどの国には今、中国マネーが次々と投入されています。中国とフランスは、2004年、胡錦濤主席がフランスを公式訪問し、戦略的パートナーシップを確立、その後、コンコルドが天津に工場を設立、2013年にはオランド大統領が中国を訪問して経済技術協力を加速させました。今回の訪問では総額2兆5000億円、50項目にも及ぶ経済協力に合意し、欧州エアバスから旅客機を70機購入、原子力発電・宇宙開発などでも協力合意し、東風汽車とプジョーシトロエンの提携合意書も取り交わされています。習近平は3月25日、フィガロ紙に「特別な友人、ウインウインのパートナー」と題する文を寄稿、両国関係の緊密さを誇示しました。それまで対中貿易額がドイツの4分の1だったフランスのこの動向に、ドイツも18項目の合意文書に調印、北京自動車とダイムラーは1400億円の投資協定を結びました。
EUは中国にとってもアメリカを上回る世界最大の貿易相手国。中国は双方の関係の緊密化をテコに、合わせて安保理常任理事国が3か国になる点にも着目、政治面も強化し、日本を戦後レジームへの挑戦者と位置づけてEU諸国の共感を呼び起こす作戦に出ています。 
4月3日の人民日報8面は更に全面を使って10年ぶりに10の分野にわたる第2回中国対EU政策文書を発表、今後の指針としましたが、このような中国側のアプローチに対し、EU側からは、異質の統治形態を維持するこの相手に対し「中国はパートナーであっても友人ではない」という声が根強く、経済依存の蜜月が何時まで続くかは予断を許しません。

三瀦先生のコラム