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第638回 あの手この手の中小企業振興
(2014年09月29日)
経済の構造改革とグレードアップという不退転で取り組むべき大きな課題に直面している中国。第三次産業が70%以上を占める先進諸国に対し、中国はいまだ45%ですから、まさにこれからですが、そのカギを握るのが民間活力。政府は許認可権を下放させ、企業登録手続きの簡素化、基準の緩和を積極的に推進して、起業コストを引き下げ、民間投資を呼び覚まし、市場の活力を喚起する政策に打って出ています。
このコラムでも紹介しましたが、2013年3月の全人代で断行された国務院の機構改革を端緒に、同年11月の三中全会では市場化が大きく取り上げられ、工商登記制度の改革が俎上に上りました。これを受けて、公平かつ透明な市場システムの構築、事前許可制から事後届け出制への移行を目指す動きが顕著になりました。2014年2月18日に国務院が公布した<登録資本金登記制度の改革方案に関する通知>は一般的な登録資本金の最低金額について、これまでの、有限責任会社の場合は3万元、個人による有限責任会社は10万元、株式会社は500万元という制限を無くし、1元でもあれば会社を設立できるようにしました。また、会社を設立する時の発起人の最初の出資比率についても規定しないことになりましたし、出資方式や出資における金融資産比率などの制限も撤廃されました。このほか、零細企業や起業者にとって厄介だった住所の登記手続も合法的な使用証明書さえあればすぐ登記が可能になり、企業の年度検査制度も3月1日より年度報告公示制度に変りました。
中国の最近の新規登録企業は大多数が私企業であり、2013年で見ると、新規登録企業の76.55%が第三次産業、中でもインターネットや情報サービス、戦略的新興産業、レジャー産業・健康産業・老人介護などに集中しています。これまでのサービス業はどちらかというと、産業の40%ほどを占める第2次産業をサポートする分野が多かったのですが、今後は、庶民の衣食住行などに関わるサービス業の発展が見込まれています。今回の<通知>がこういった動きを後押しすることは疑い有りません。遼寧省では、すでに今年の1月から登録資本金登記制度の改革を試みていますが、最初の1か月で昨年の実績を50%以上上回り、こうした動きは3月以降全国各地に広がっています。その一方で、今後、こういった新規登録企業に対し十分な資金提供を確保できるかどうも大きな課題になっています。