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第650回 戸籍改革、本腰へ—その1−
(2014年12月22日)
2014年7月30日、国務院が<戸籍制度改革を一層推進することに関する意見>を発表しました。2013年以来、公安部が国家発展改革委員会・中央農村工作指導小組弁公室・人力資源社会保障部など12部局と共に検討を重ね、各地の実地調査、各方面からの聞き取り調査を経て発表された<意見>は、中国の戸籍改革が全面的に実施段階に突入したことを示すものと受け止められています。
その間、2013年の18期三中全会では、「鎮や小都市(人口100万-300万)では戸籍取得制限を全面的に解除、中都市(〜500万)では段階的に開放、大都市では合理的な取得条件を設定、巨大都市(1000万〜)では厳しく規制」との基本方針が提起され、同年12月、公安部は「2020年までに都市と農村を統一した新戸籍制度をほぼ確立する」と発表しました。また、2014年1月、国務院から<農村改革を全面的に深め、農業の現代化を推進加速させることに関する若干の意見>が出され、この流れを受けて、既に各地でポイント積立式戸籍獲得制度や居住証制度が打ち出されています。
2014年7月31付人民日報に、今回の<意見>に関する黄明公安部副部長のインタビュー記事が掲載されました。その中で黄明氏はこの<意見>を今後一定期間の戸籍改革における綱領的文献と位置づけ、その特徴として、「①戸籍制度改革における初の全体的な調整であり、中央の新都市化建設に呼応し、各地の実情とニーズを考慮した。②教育・就職・医療・老後・住宅・土地などの総合改革とセット。③都市と農村の戸籍登録制度の一体化、居住証制度の確立、人口情報管理制度の健全化などを含んだ、新戸籍制度確立へ向けた全体的な枠組みの設定」の3点を挙げています。また、2020年に向けた主要な目標として、「①農村などから1億人前後を都市の戸籍に組み入れる。②居住証制度を全面的に実施し、住所の合法的な確定と就職の安定を保障し、常住地登記を基本とした戸籍移転登記制度を確立し、国の人口基礎データバンクを構築する」ことを示しました。(行政管理の電子化、情報化について国務院は、2002年の<我が国電子政務建設に関する指導意見>の中で、第15次5カ年計画中に4つの情報バンク:『人口基礎情報バンク』『法人基礎情報バンク』『自然資源・空間地理情報バンク』『マクロ経済情報データバンク』の構築を示唆しています)。
この続きは次回に。