企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

 第659回 収入格差是正への動き

(2015年03月02日)

2014年5月、国家統計局は初めての異業種平均給与調査データ(2013年)を発表しました。それによると、全平均給与額は年額45676元(月額3836元)で、事業組織団体トップの平均給与はその2.35倍の107374元(同8948元)、逆に、最低水準の商業・サービス業は全体平均の86%(月額3299元)でした。地域別では、東部地域が最も格差が大きく3.09倍、登録別では、外資系企業が5.35倍と最も高くなっています。また、公務員は51474元(同4290元)で、民間の32706元(同2726元)の1.57倍でした。業種別の差は歴然としており、上位10産業の就業者(全体の34%)は全平均給与額を上回っていますが、下位9産業の就業者(全体の66%)はこれを下回っています。
都市での生活にどれくらい費用がかかるのかは地域にもよりますが、沿海地方なら、家賃や食費で1000元以上、水道電気代に日用必需品や必要経費などを加えると2000元は必要です。それに交際費や家族を養う費用もとなれば、平均給与の3299元ではやりくりが大変ですが、例えば2013年の農民工の月平均給与は2609元しかなく、しかもその人数は2.69億人、その70%が80年代、90年代生まれの結婚、出産、教育に直接関わる世代で、帯同する子供の数は1277万人にもなっています。貧富の差を示し、数値が0から1に近づくほど差が大きいジニ係数は、先進諸国では一般に0.24〜0.36に位置しますが、中国は2008年に警戒線の0.4を超える0.491を記録、2012年も依然として0.474を記録していました。
こうした格差に危機感を覚えた党・政府は、2012年の18全大会で収入分配制度改革を掲げ、2013年2月、<収入分配制度改革を深化させることに関する若干の意見>を公表し、2020年には国民の平均実収入を2010年比で倍増させることを主要目標として掲げました。日本では1960年に池田内閣が10年間での所得倍増計画をぶち上げましたが、それとよく似た状況と言えましょう。上記の<意見>では、一次分配、再分配、農民の増収、分配秩序などについて30本の政策が示されており、こうした措置を着実に進め、各部門や地方に責任を持って実行させるために、同月、国務院は重点業務の職責分担に関する通知を発しました。2014年には中央国有企業管理職の高給もしきりにやり玉にあがりましたが、公務員のヤミ給与や灰色収入に対する国民の疑惑も大きく、この疑いを晴らすのは容易なことではありません。

三瀦先生のコラム