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第662回 医療における民間活力の導入−その2-
(2015年03月23日)
3つ目は医療保険への参入が困難な事。これら三つを解決しなければ、公平な競争など望むべくもありません。不公平な条件の下で公立病院が幅を利かせる中、民間医療機関はどうしても都市の中心地域を除く周辺地区、更には僻地に活路を求めるしかなく、それゆえ、経営も困難にならざるを得ません。そこで登場したのが、医療サービスを基本医療と非基本医療に分け、基本医療を公立の独壇場とせず、政府の公平なサポートの下で民間でも参入出来るようにし、一方、非基本医療は市場に任せようという考え方です。2012年9月に国家発展改革委員会は浙江省の温州を全国初の民間資本医療経営モデル都市として認定、市では<民間資本の医療機関設立推進加速に関する実施意見>を作成してこれを中心に据え、それに関わる人材・融資・土地・医療保険など17の政策をセットにして、2015年までに民間病院のベッドを8000床増やし、市全体の25%以上にする計画を2013年に提示しました。更に、基本医療と非基本医療双方の発展に加え、外資・民資・国資の“三資”の併用という原則を確認し、台湾を含めた外資の導入を積極的に進めています。 2013年12月、政府は<民間医療経営発展加速に関する若干の意見>を配布、民間医療を各地域の総合衛生プランに組み込む方針を示し、また、香港・澳門・台湾の医療サービス提供者には全国地級市以上で、その他の適格な外国資本には上海貿易試験区など特定区域で外資独資医院の設立を認め、省級の関連部門に独資医院の許認可権を付与しました。これにより、今後、老人病専門病院・ターミナルケア病院・リハビリ専門病院など、特色ある病院の設置も盛んになることが予想されます。2014年8月、政府は<外資独資医院設立の試み実施に関する通知>を出し、北京・天津・上海三市と江蘇・福建・広東・海南四省に外国の投資者が新設あるいは買収によって外資独資医院を設立することを認めました。最近、上海貿易試験区にはドイツ資本が加わった外国企業独資医療機関の設立が決まり、北京には、北京大学と方正グループという国内民間資本による非営利性総合病院、北大国際医院が姿を現していますが、内外の民間資本の参入による医療改革の行方がどんな劇的な変化を生んでゆくかが注目されます。