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第664回 産学共同への取り組み
(2015年04月06日)
1年前の2014年1月10付人民日報に<産業連盟:イノベーション第3極>という広告が掲載されました。「21世紀以降、北京市科学委員会の強力な後押しで首都には“産学研用”の新社会組織—産業革新連盟が出現した」「同委員会の<産業技術革新促進戦略連盟の加速度的発展に関する意見>に呼応して北京市ではすでに100余りの各種連盟が成立した」と述べ、同時に半導体連盟・TD産業連盟・など8つの産業連盟からのメッセージも掲載されました。
これは何を意味するのでしょうか。同紙2014年10月10日<書架から商品棚の距離はどれくらい?>は、科学技術の成果が産業化されにくい現状を訴えた記事で、研究者は「この成果は素晴らしいが、企業にビジネス化能力が不足している」と嘆き、企業は「成果が未成熟で製品化には費用がかかりすぎる」と嘆く、という接続不良を取り上げました。
経済が「ニューノーマル」に突入し、構造変換が求められている今日、政府は産学協同による研究成果の製品化を強力に推進し始めました。2014年初頭の<科学技術成果転化促進法(修訂草案)>では、科学研究機構や大学に研究成果の処置権が与えられ、獲得した成果の自主的な譲渡・許可・投資が可能になり、これに呼応して北京では、転化による収益の70%までをインセンティブに活用してよいなど、知財権取引市場の設置、価格決定メカニズムの構築を含む<北京十条>が打ち出され、四川省成都でも<成都十条>が出されました。
こうした動きにはベンチャー企業の育成も必要ですが、資金・人材・評価基準などで問題が山積。そこで中国人民銀行は科学技術部など6部門と合同で<制度・メカニズムの革新の強力な推進、科学技術への金融サポートの着実な実施に関する意見>を出し、科学技術企業の上場・再編と再融資を支持、新株発行も視野に科学技術成果の資本化・産業化を進めています。また、産学協同推進の前提としてきちんとしたデータベースが必要と、国は<国家科学技術報告制度早期確立に関する指導意見>を発し、成果の保存・蓄積・開放・共有・応用を呼びかけ、2014年9月時点で登録ユーザーは12000名を突破しました。
中国はロボット産業や3Dプリント産業を今後の産業発展の大きな柱と考えていますが、先進諸国との間にはまだかなりの差があり、2020年頃を目途にこれに追いつく目標を立てています。そのためにも産学協同の強力な推進が強く求められているのです。