企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

 第670回 ボランティア活動の広がり−その2−

(2015年05月25日)

ボランティア活動は急速に全国へと広まっています。吉林省長春市緑園区では、ボランティア活動民間組織向けインキュベーターが整備され、慈善事業や権利擁護に従事する組織は500近くに上っています。広東省仏山市では、ボランティア活動従事者に対するフィードバックも進んでいます。同市南海区では各従事者に“電子義工証” が渡され、活動が記録されます。それによりショッピングセンターでの割引、行政サービスセンターでの順番繰り上げといった優遇が得られるとのこと。勿論、物質的恩恵が主目的ではないけれど、まずは意識を育てるためのインセンティブだそうです。江蘇省鎮江市の“愛心”カードも同様の趣旨で、1〜3つ星だと、活動している社区で“愛心銀行”から無料家事サービスが受けられ、集合住宅管理費が無料になり、4〜5つ星だと市内のバスや公共自転車、特定時間の駐車料などが無料になり、指定商店での割引サービスも受けられます。こういった活動をさらに整備したのが北京市海淀区で、「申請⇒専門家の審査⇒社会に公表⇒資金サポート⇒督促と検査⇒結果評価」という流れを確立、持続的な活動に道筋をつけました。その結果、同区では、既に2013年時点でボランティア登録者47万人(区内全住民の13%)、団体数は2520(北京市全体の3分の一)に達し、ボランティアアイテムも2747項目を数えています。
ボランティで特に期待されるのが青年ボランティです。その登録者数は2014年には4000万人に達しています。多くの大学生が西部大開発等などを通し、貧困地区の教育支援に参加してきました。例えば、山東大学大学院教育支援チームは過去15年間にわたり146人もの学生が山西省の農村教育を支援してきましたが、大学生によるこういった支援は全国で展開されています。夏休みになると各大学の学生が続々と僻地に赴き、子供たちへのボランティア活動に従事するのも恒例になってきました。勿論、老人も負けてはいません。北京の首都空港では92名の老人ボランティア“紅馬甲”が活動しています。
2014年8月、山東省青島市の青島職業技術学院に全国初のボランティアサービス学院が併設され、130名余りが参加するなど、活動の更なる進展が見られますが、一方では、制度化と共に行政命令的強制も垣間見られ、管理が行き過ぎてボランティア精神を損なうことの無いよう、十分な注意が必要でしょう。

三瀦先生のコラム