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第677回 整備が進む著作権−その2−
(2015年07月13日)
2011年は個別の事例でも幾つか注目すべき動きがありました。3月、楽視・騰訊・激動・迅雷・暴風影音・PPTV・PPSの7社が共同で「ネット映画館発行連盟」を設立、①オンライン時期②クオリティ③料金の“三つの統一” を掲げ、一般映画館放映後、2〜4週間後にオンラインすること、映画一本視聴に付き3〜10元とすることなどを掲げました。
中国で初めてネットとデジタル出版権契約を行った賈平凹が百度文庫を<古炉>のデジタル版権で訴え、百度文庫側が<古炉>を削除した件も紙上を賑わしました。4月には中国文化部が、「バイドゥ」など14社のサイトが利用者に楽曲を違法にダウンロードさせていたとして、各地の担当部門に調査・処分を指示。こうした動きを受け、同年11月には、国内初、アジア最大の音楽版権データバンク「版権保険箱」が完成し、権利者に属する作品に対しネット上で証明し、公証機関が発行する電子証書を取得させてその知財権を保護する仕組みができ、「無料視聴」時代から「有料ダウンロード」時代に入ったことを印象付けました。
中国では海賊版CDは500枚以上になって初めて犯罪として扱われるなど、これまで規制が甘く、無断使用の蔓延を助長していました。2012年、政府は版権産業育成の方針を明確に打ち出し、6月には北京で85カ国と20余りの国際機関が参加した「2012中外企業知財大会」を開催、<視聴覚的実演に関する北京条約>を締結し、版権保護と文化産業の発展を強調しました。こうした動きに呼応して、同年4月、三大動画配信サービス(「捜狐」「騰訊」「愛奇藝術」)が合同でVCC(ビデオコンテンツ協力機構)を設立、版権確保で協力しつつ、版権価格の高騰に歯止めをかける方針が打ち出されました。一方、バイドゥは5月までにユニバーサル、ワーナー、ソニー、EMI大手4社を含む国内外の音楽出版社500社と版権契約を交わし、150万曲以上を提供し、、版権所有側の税収も数千万元に達しました。また、人民大学国家版権取引基地版権評価センターが某社製作のテレビドラマの版権に1.7億元の評価を与え、同社はこれを基に北京銀行から1億元の融資を獲得した、というニュースも伝わっています。2011年に中国のデジタル音楽総生産額は300億元を突破しましたが、音楽出版社と作詞作曲者の取り分はその3%未満(日、米、韓は70%以上)でした。2012年は、まず、この状況を改めることが急務だったのです。