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第679回 整備が進む著作権−その4−
(2015年07月27日)
2014年10月、西部地域でも西安に家版権交易センターが開設され、11月には<北京、上海、広州知財権裁判所案件管轄に関する最高人民法院の規定>が出され、広州知財権裁判所に、行政区域を超え広東省全体を網羅できる権限が付与されました。また、最高人民法院に「中国知財権保護研究センター」が設置されることになり、上海浦東新区には全国初の、特許・商標・版権を統一管理する知財権局も誕生するなど、矢継ぎ早の動きが目を惹きました。
こうした政府の姿勢を反映して、著作権者未許可のコンテンツが有力サイトから次々と消え始めるとともに、5月には、脚本家瓊瑤が、于正脚本『宮鎖連城』は自作の『梅花烙』の盗作だとして訴え、12月に北京中級法院は放送の停止と賠償金500万元の支払いを命令、また、6月には最高人民法院が、「土豆網」の「舌尖上の中国」無断使用に関するCCTVの訴えを認め、24.8万元の賠償を命じる判決も下しています。
この傾向は、当然ながら、コンテンツの権利獲得の動きと表裏一体となります。既に2011年には「土豆」が人気アニメ「NARUTO」などに権利料支払い、正規版を配信していますが、権利を獲得したサイトが海賊版サイトを告発する動きもしばしば出ていますし、視聴サイト側は広範な分野で自主製作を展開してテレビ局に肉迫、有力コンテンツ獲得のため有力サイトが日本のテレビ局にコンタクトを取る動きも活発になっています。これに対し、同年5月には「湖南衛視」が自主製作作品の版権を視聴サイトから回収、独占放映にするなど、テレビ局側も対抗策を講じています。2015年1月、国務院は<国家知財権戦略深化行動計画(2014-2020)>を公表、運用面では、「①知財権集約産業の発展を促進 ②特許へのナビの強化、特許の共同運用、知財権の集中管理 ③知財権サービス業の発展 ④産業のモデルチェンジとアプグレードのサポート
⑤産業競争力の強化」を掲げ、保護面では「①知財権に関する行政・刑事両面の法執行と司法による保護の強化 ②ソフトウエアの正規化推進」を掲げました。3月の全人代中国最高検活動報告は「2014年には商標権や著作権などの侵害事案に対し前年比7・1%増となる9427人を起訴した」と記載されましたが、著作権システムの改善はまさにこれからが正念場と言っていいでしょう。