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第682回 2014年日中関係総括−その2−
(2015年08月17日)
2014年の10・11月になると、日本関係記事は合計32本と、その前3ヶ月と比べ激減します。ただ、11月に開催されたAPECとその中での安倍首相との会談を視野に、10月は計18本中、靖国関係2本、大戦関係5本、集団的自衛権関係3本が掲載されましたが、その一方で、日中関係改善絡みも6本掲載されました。関係改善については、国内から反発が出るのを極力避けつつ、改善の方向も匂わせようと、バランスを取った細心の注意が払われています。両国の首脳会談について、日本の新聞は大々的に取り上げましたが、人民日報では目に付くタイトルがほとんどなかったことがその点を象徴しています。ただ、強硬で知られる<鐘聲>欄が中日関係の安定した健全な発展を主張する論調を掲載した(11.11)ことは十分示唆に富んでいます。12月は、初めての南京大虐殺犠牲者哀悼記念日に合わせ、関連回顧記事が25本に達しましたが、その他の記事は合計でも6本に過ぎず、日本の一部メディアの「対日強硬路線は不変」といった記事が見当違いであることを如実に示しています。これは、当日の習近平の演説内容を精読すれば一目瞭然です。
2014年は日中関係打開の糸口が模索された1年でもあり、閣僚級の接触記事はおよそ10本、事務レベル、有識者レベルの交流や調整、10月の博鰲アジアフォーラムでの福田元首相と習近平国家主席の接触も紹介され、首脳会談への地ならしが行われました。
2014年後半で目立ったのは、元戦犯だった日本人の悔悟の情、日本の一般人の安倍政権に対する反発を紹介する記事の多さで、政府と民間を切り離して紹介し、民間交流の門戸を切りひらき、民間人を支援していこう、という意思が明白に示されていたことでしょう。
同年は、このほか日本全体が抱える構造的問題として、労働力不足・少子化・住宅空き家率などが、社会的問題では、青少年の自信喪失、熟年離婚の増大、職業意識の低下などが列挙されました。文化面では、高倉健の死去が格別の憶いで報じられました。
こんな時期でも「よいことは日本に学ぶ」という姿勢は健在で、老人介護、子供のマナー教育や科学教育、食品の安全、就職確保への取り組み、教員の定期異動による教育の質の均等化、日本のコンビニの便利さ等が、トピックスとしては日本の“萌”文化や、男でも日傘をさすようになった「軟弱化」が紹介されています。