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第683回 海外旅行
(2015年08月24日)
2014年の春節の全国観光客数は延べ2.31億人(以下すべて延べ数)、国慶節期間はその倍以上の4.75億人にも上り、年間で37.2億人、2015年は41億人に達すると予測されています。これに合わせて海外旅行も急増、2014年は遂に1.09億人と1億人を突破、2015年の春節海外旅行者数は前年同期比10%増の518.2万人に達し、天津市では海外渡航組が国内組を上回りました。また、海外での消費額も、既に2013年には1000億ドルを突破しており、各国の経済に大きなインパクトを与えています。
渡航先で人気なのが日韓、東南ア、欧米、オーストラリアとニュージーランド等ですが、それぞれ為替相場の有利性、ビザの緩和、様々な消費環境の改善などが追い風になっています。韓国では2014年の外国人入国者の44.7%(556.3万人)が中国人、その一人当たりの消費額は155万ウオンと外国人平均の2倍になっています。アメリカも218万人が訪れ、アメリカ経済に850億ドル貢献しました。日本でも、同年の中国大陸訪日者数241万人、「爆買い」による消費は一人当たり23万円(1ドル117円換算)、2015年の春節ではデパートや免税店の売り上げが3倍にもなり、ディズニーランド近くのイトーヨーカドー新浦安店では5倍にもなったとのこと。各地のラオックスも中国人客で溢れかえりました。
こうした中、中国人観光客のマナーの悪さが世界中で評判になってしまいましたが、政府は2013年10月1日に“新旅游法”を実施、旅行社のレベル向上と“文明出行”(観光マナーの向上)に正面から取り組み始め、2014年には国務院から<旅游業改革発展促進に関する意見>も出されました。2015年2月には<旅行社等級の区分と評定><旅行社国外旅游服務規範><旅行社服務通則>の3つの国家基準が公表され、8月1日から実施されることになりました。これにより、旅行社はAから5Aの5等級に分類されます。全国26000社中、5Aにランクされるのは20〜30社程度とのこと。
最近の中国人海外旅行の特徴は、団体旅行から自由旅行への変化。若年化・個性化・ネット化がキーワードになっています。銀聯カードやアリペイなどによる消費に関する金融環境のサポートも進んでいます。ただ、その一方で、2014年は、中国在外公館が関わったトラブルが6万件、重大事案も100件を超えており、対応システムの整備が求められています。