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 第684回 サッカー振興計画

(2015年08月31日)

「管理機構の性質や責任が不明確、プロサッカーに政策や制度が不足、學校サッカーの管理体制が杜撰、サッカー発展のためのインフラ投資が不足、サッカー界の違法行為に対する取り締まりが弱い、サッカー産業の規範と現行法律・政策との不整合…」(人民日報2015.3.20)。こうした現状を打開すべく、2015年3月16日、習近平主席をトップとする「中央改革全面深化指導小組」が打ち出したサッカー全面改革の方針に基づき、政府ネットに国務院弁公庁から「中国サッカー改革発展マスタープラン」が発表されました。
中国のサッカーは1994年にプロリーグが発足、ホーム&アウエー方式を採用、外国人コーチや助っ人も容認し、2003年には<中国サッカー十年計画>を作成、翌年にはスーパーリーグ結成へと動き、2005年にはワールドカップ出場の目標も掲げました。しかし、プロチーム経営側の儲け主義と八百長の続出により低迷、2002年のワールドカップには初出場したものの、FIFAランキングは今も83位と日韓の後塵を拝しています。
今回のマスタープランの最大の要点は中国サッカー協会と国家体育総局を分離させ、協会に内部組織の整備やプランの策定、財務などについて自主権を付与したことでしょう。更にプロリーグ組織の自律性の確立も視野に入っています。
こうした一方で、サッカーの振興は、学校サッカーと社会サッカーとリーグサッカーの三本柱をしっかり育成することが必要で、例えば学校サッカーは人格形成が目的で、優秀な選手を育てるために奉仕するものではない、という認識も広まっています。学校サッカーについては小中学校の体育の正課にサッカーを組み入れ、サッカー重点校を現有の5000校余りから、2020年には2万校に、2025年には女子サッカーも含め5万校に増やす目標が掲げられましたが、そのための指導者の育成や練習場の確保も急務です。また、なぜサッカーだけが、という他競技からの嫉妬も根強く、それについては、サッカーでの取り組みが成功したら、それを徐々に他競技にも広めていく方針との説明がなされています。
とはいえ、習近平氏のサッカーへの思い入れ、ワールドカップ開催を誘致し、“中国夢”(中国を世界の強国に)を実現しようという願望がベースにあることは周知の事実。以下にして地道なサッカー文化の育成に取り組むか、という視点が欠ければ、画竜点睛を欠くでしょう。

三瀦先生のコラム