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第692回 庶民生活トピックス
(2015年10月26日)
「年年歳歳花相似たり 、歳歳年年人同じからず」、庶民の暮らしにも毎年新しい変化が生じています。貧困の格差を是正し、全面的な「小康社会」を実現するためのラストスパートに入っている感がある中国では、その先の幸福な生活とは何か、という問いかけが真剣に取り上げられ、「幸福感」の科学的分析にも熱が入っています。(以下は2015年の人民日報から)
衣食足りてまず求められているのが、文化的潤いと礼節を重んじる社会。騒音が問題になった“広場舞”もその一つでしょう。おばさんたちが自然発生的に始めたこの活動は、地域コミュニティ“社区”の一帯感や帰属感を強化する利点もありました。音楽をイヤホーンで聞いて躍る、といった改善も報告されていますが、“広場舞”をさらに発展させようと、先頃国家体育総局が12種類の“広場舞”を発表し、「何で国がシャシャリ出て、基準化を図る必要があるのか」と議論になりました。貴州省の貴陽で活動しているのは、平均年齢40歳以上で最高齢者は60才以上という馬利成人バレー団。それぞれ医者であったり教師であったり様々ですが、娘時代の夢が漸く実現、2015年には初の公演も行いました。
ふとしたことから、バスや地下鉄で老人に席を譲ってくれた人の笑顔を写真に撮り始めたところ、それが大評判になり驚いているのは、今年70歳になる湖北省武漢市の屠礼華さん。ささやかな善意とその人たちの優しい笑顔が人々の心を打ったのでしょう。
変化の過程では様々な問題も起きます。「街角の新聞スタンドが無くなって、朝刊がすぐ読めなくなった」という嘆きはよく耳にします。江蘇省無錫市では2009年から“報刊亭”が廃止され、庶民は午後にならないと新聞が手に入りません。「朝起きたら通りへ出てスタンドで新聞を買い、朝飯屋で食事をしながら新聞を」という習慣が不可能になってしまったのです。
最新機器の導入も時には便利が不便に。ある地方では、農民の特別補助受け取り手続きを簡素化するために指紋認証機器を導入しました。ところが、冬になれば農民の手はひび割れだらけ、「本人とは認定されず、補助金を受け取れなくなった」とのこと。乞食も様変わりしました。最近報告された例では、4人の男が最新式のアップルの携帯を手にして飛行機で江西省南昌から重慶に乞食の出稼ぎをしていました。この種のプロの乞食はもう珍しくないとのことで、その収入は月1万元以上と都市のホワイトカラーをも上回るとか。