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第693回 職業資格の見直しと新しい取り組み—その1−
(2015年11月02日)
昨年(2014年)春の全人代直前(2/26)に開かれた李克強首相主催の国務院常務会議で、現代職業教育発展加速に関する段取りが示されました。その趣旨は「技術の進歩、生産方式の変革、社会の公共サービスに見合った、産業と教育が深く融合した現代職業教育発展の加速」「1億人を超えるエンジニア、ハイレベルの技術労働者、質の高い職業別人材の育成」であり、その目的は「中国の製造・装備産業の市場競争力を高め、経済の質と効率を向上させ、国民の多様なニーズに応えること」にあります。
具体的な方策としては、[①職業教育を国の人材育成システムの重要な位置に置くこと。社会に「学歴のみならず、一芸に秀でることを尊ぶ」気風を醸成。 ②職業学校の経営自主権拡大、中等職業学校-大学専科-大学本科-大学院生というルートの整備。一定数の本科制大学の技術系大学への転換。 ③三つの整合性(産業界のニーズと専門課程、職業基準とカリキュラム内容、生産過程と教学過程)の達成。<学歴証書>と<職業資格証書>の「二つの証書」制度の推進。産学協同による学生の募集と育成。技術者などによる授業の展開。 ④職業教育への民間の参入(独資・合資・合作)(株式制・混合所有制)の奨励。公営と同等の権利を保障。 ⑤政策上のサポートと行政による監督管理の保障。農村や貧困地区の職業教育を支援]が挙げられています(人民日報2014.2.27)。“新常態”に対応しつつ、次なる発展の手がかりを追求するには、経済構造のモデルチェンジとグレードアップが不可欠で、それには人材の育成が欠かせません。また、全国的に推進されている都市化にも、農村からの余剰労働力を都市化に必要な質の高い人材に育成する職業教育のサポートが不可欠になります。
2014年6月、全国職業教育工作会議が北京で開催され、習近平主席が「重要な指示」を発表、これ受け、国務院は<現代職業教育の発展を加速させることに関する決定>を配布して、今後一定期間における指導思想・基本原則・目標任務・政策措置を明確に打ち出し、「2020年には上記①〜⑤のような、中国独自かつ世界に通用する職業教育体系を打ち建てること」を明確に提示しました。
中等職業学校就職率は95%を超え、大学レベルでも本科生や大学院生を上回り、「ブルーカラーの逆襲」とも言われていますが、その後の具体的展開はまた次回に。