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 第695回 介護ビジネスの展開−その1−

(2015年11月16日)

2013年に60歳以上が2億人を突破した中国。上海市のデータによると、2014年末時点で、上海戸籍人口1438.69万人中、60歳以上の老人は413.98万人(28.8%)で、2018年には500万人を突破するとのこと。また、同年は増加率も前年比6.8%増と過去最大で、上海は全国の先陣を切って本格的な高齢化社会に突入しています。一方、北京市の健康白書を見ると、2014年の同市戸籍人口平均寿命は81.81歳。60歳以上の老人は301.0万人で、同市戸籍人口の22.6%を占めています。こうした高齢化への対策として、民生部は第13次5カ年計画(2016-20年)中に老人千名当たりのベッド数を2015年の27.5台から35〜40台に増やし、デイケアサービス施設が全ての都市(2015年70%)と50%の農村(2015年37%)をカバーすることを目指しています。
各地方の取り組みも活発化しています。上述の北京市では国レベルの老人介護サービス基準の確立が同市第一社会福利院で試験的に進められています。その内容は、インフォメーションサービス、生活サービス、飲食サービスなど13種類に分けられ、例えば、入浴時の水温は34〜40度に、体に触れるときは先に手を温める、など細かく規定されています。また、山東省のある市では、8192199に電話すれば、老人たちが様々な緊急のサービスを受けられるようにもなっています。ただ、問題は「介護をするのは誰か」という問題です。
2014年12月26日の人民日報に<在宅介護は我が国の国情に適した老人介護方式である>という記事が掲載されましたが、9割の老人が在宅介護を希望している現状では当然のことでしょう。介護機関を希望している老人も、わずか10%とは言え、その数は2000万人以上、現有ベッド数390万台では焼け石に水です。在宅介護を側面援助する試みも見られます。四川省金堂県では、“一つのセンター、多くの出先機関、重点パトロール”という農村在宅介護サービスモデルを立ちあげ、昼食の提供や老人の活動集会所の充実などを進めています。
2015年4月、中国老年医学研究機構連盟が解放軍総医院で誕生、国内の老年医学研究に関わる優れた人材や団体を結集し、研究応用のプラットフォームを作ることになりましたし、また、同じ4月には、全国31の省区を含む初の老人生活状況全国調査も始まりましたが、何と言っても問題解決の最大のカギは民営化。それについては次回に詳しく。

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