企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

 第696回 介護ビジネスの展開−その2−

(2015年11月24日)

老人向け介護サービス業への民間企業参入奨励のために政府はどんな取り組みをしているのでしょうか。2015年5月4日の人民日報にその内容を詳しくまとめた記事(王観記者)が掲載されましたので、それを略述しましょう。この記事では、2014年に政府が24億元を投入し、8つの省に各3億元を配分して民間企業誘引の呼び水とする市場化の試みを開始し、湖南省ではこれを踏まえて既に45億元の基金募集計画が策定したことを紹介した後、中央政府の取り組みを6つの側面から概括しています。
1)投融資政策:金融機関に関連金融商品とサービス方法の開発、融資に関わる担保物件の範囲の拡大、小口融資などを促し、保険基金の介護サービス事業への投資に関わる制限を緩和する。
2)土地供給政策:各地方政府に、都市土地利用総合プランに当該用地の確保を組み入れるよう求め、更に、市街地区や居住区の新規建設には老人介護施設の設置を義務付け、既存の住宅地域が非営利性施設の面積を増やす場合は土地代金の追加徴収を免除する。
3)税金優遇政策:提供する介護サービスは営業税を免除する。非営利性の場合は、土地建物の不動産税・都市土地使用税を免除、条件によっては更に企業所得税も免除する。
4)行政事業性収費:非営利性の場合は免除、営利性の場合は半分免除とする。
5)補助金:各地方はその実情に応じて、投資の補助、ローンの利息補填、運営補助、サービスの買い上げなどを行ってよい。また、公益宝くじ収入の50%以上の資金を当該事業に当てなければならず、この比率は更に徐々に高める。
6)政府による介護サービスの購入
①在宅介護:食事・入浴・掃除・救急・医療・介護サービスなどの訪問提供を購入し、更に介護サービスネット情報網を立ち上げる。
②地域コミュニティ介護:デイケア、リハビリ、文化活動などのサービスを買い上げる。
③施設介護:無収入や低収入の老人、貧困寝たきり老人に対する施設での介護を購入する。
こうした中央政府の取り組みに呼応して、各地でも様々な動きがあります。天津市や広西チワン族自治区南寧市では政府が施設を建設して民間に運営を任せる方式が模索され、浙江省では既に<社会養老服務促進条例>が成立しました。今後の成果が注目されます。

三瀦先生のコラム