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 第699回 自由経済区の拡大−各論その1−

(2015年12月14日)

2014年4月20日、政府は<自由貿易試験区外商投資許可特別管理措置(ネガティブリスト)>と<自由貿易試験区外商投資国家安全審査試行規則>を公表し、上海市・天津市・広東省・福建省4つの自由貿易試験区で実施する、と表明しました。ネガティブリストには50条目、計122項目が記載され(上海自由貿易試験区開設時は139項目)、外資に対して製造業を中心にさらに門戸が開放されることになりました。また、制限関連法規はネガティブリストに一括して記載され、一方、外資の参入に対しては利便性・透明性が高められ、守るべき様々な条件についても包括的な投資指南が用意されました。
翌21日、天津市・広東省・福建省の各地で自由貿易試験区の開所式が挙行されましたが、ここからはそれぞれの地域の取り組みについて簡単にご紹介しましょう。
[一] 天津自由貿易試験区
長江以北では唯一の自由貿易試験区となった天津。京津冀地区の協同発展のエンジンとしての役割が期待されています。全体が「天津港」「天津空港」「濱海新区」の3つのエリアに分かれ、それぞれが、物流関係、ハイエンド産業、現代的サービス業などを分担しています。同試験区は地理的にも大きな役割を担っています。東北方面ではシベリア鉄道へ連なる玄関口の満洲里、モンゴル国へ連なる内モンゴル自治区の二連浩特、西北方面では中央アジアに連なる新疆ウイグル自治区の阿拉山口へという3つの国際ルートを通じ、ロシアや中央アジア、更には欧州へも直接に繋がります。これらの地域へは既に2014年時点で年間10万ケースを超えるコンテナが輸送されています。
試験区内の政府業務の効率化も大きなテーマです。許認可の簡便化(印鑑一つでOK)も目玉の一つですが、信用状況に応じた企業に対する監督管理も整備されつつあります。天津市市場監督管理委員会は、同区内の企業を“良好・警示・失信・厳重失信”の4ランクに格付けし 、ランクに応じた個別の対応を行うこととし、それに応じた監督管理システムの調整も進められています。また、同区の大きな特徴の一つが金融関係の取り組み。様々な制度の革新(個人による内外市場への投資、譲渡性預金など)や金融市場の開放と共に、ファイナンスリース業の発展も重要テーマになっています。

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