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第700回 自由経済区の拡大−各論その2−
(2015年12月21日)
[二] 福建自由貿易試験区
台湾海峡をはさんだ経済交流基地としてだけではなく、一帯一路の一翼を担う海のシルクロードの出発点としての役割も付与された福建自由貿易試験区。北から順に福州・平潭・厦門の3つのエリアで構成され、両岸の先端的製造業やサービス業の協力モデル地域としての役割と、海のシルクロードに連なる各国との連携を進める場を提供します。また、平潭島は観光リゾートとしての発展も主要なアイテムとなっています。
設置決定後、福建省には投資・貿易・金融・法治保障・市場監督管理という5つの専門作業グループが設置され、2015年3月までに3エリアそれぞれに管理委員会が誕生、実施具体策を策定しました。また、プロジェクトの推進、評価の普及、情報の発信という3つの業務システムを常備し、186の試験的な取り組みを打ち出し、管理規範を定めた法律や規則も19本用意されることになりました。両岸の金融貿易センターとしての役割が担う厦門では、投資管理、貿易の利便化、金融、サービス業開放という5領域の改革の試み35項目のうち、3月までに23項目が具体化に漕ぎつけ、ファイナンスリース、コールドチェーン物流、両岸Eコマース、両岸人民元使用拡大、水運物流センターなど多くの機能の多角的な開発が進められています。また、平潭エリアでは台湾免税商品市場の育成が一層進み、台湾本島への直行航路を開発することで、台湾との一日生活圏の構築も図られています。
[三] 広東自由貿易試験区
前海蛇口・南沙・横琴の三エリアで構成。香港・深圳・前海・広州南沙・珠海・澳門・横琴という巨大なA字型地域内の協力モデルを形成するとともに、福建同様、海のシルクロードに連なる重要拠点としての役割も担います。特に前海は習近平が就任早々訪れた重要地区で、金融の対外開放に関する全国的な先端モデル地区でもあり、また、横琴島にはマカオの今後の発展をリードする大事な役割が課せられています。2015年上半期に上記三エリアにおける新設企業数は.9万社、試験区成立後では1.1万社(外資464社)にのぼっています。
各試験区ではすでにいくつか独自の新しい試みも始まっており、こうした経験が今後急速に全国各地に広がっていくことでしょう。