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 第704回 銀行民営化改革−その1−

(2016年1月25日)

“新常態”における経済改革において、いかにして民間活力を導入するかは重要なポイントです。既に2005年以降、<非公36条><新36条>で民間資本への市場開放を奨励してきましたが“玻璃门”“弹簧门”“旋转门”などと言われる様々な障害に遭遇していました。
2014年、国家発展改革委員会は<インフラ領域第一次社会投資奨励項目の通知>を通達、その趣旨は①投融資体制の改革 ②投資主体の多元化 ③社会資本の一層の利用 で、同年11月には国務院が<重点領域投融資メカニズムの革新と民間投資奨励に関する意見>を発表し、公民が連携して公共サービスを提供するスキームであるPPPメカニズムの確立と整備を掲げ、政府による投資補助、基金への資金注入、担保の補填、利息補填などによるサポートを通じた、公共サービス、資源環境、生態建設、インフラ等、経済社会発展のウイークポイントの市場開放と投資の促進を謳いました。続けて12月には、財政部が、水の供給、新エネ自動車、地下総合管理パイプ施設、医療、スポーツなど、総投資額が1800億元に達する30のPPPモデルプロジェクトを発表しています。
こういった民間活力導入の中で象徴的なのが銀行です。金利の自由化や中小企業への融資など経済改革に直接かかわる課題を解決するためにも民営化は待ったなし。2013年の18期三中全会の「条件を備えた民間資本に、法に基づき中小銀行などの金融機関を設立することを許可する」という方針に基づき、2014年には「民間資本を既存の銀行の再編に参加させるとともに純民間銀行を試験的に認可する」という試みがスタートしました。
同年3月、民営銀行5行試行案が確定し、その方式として、①共同発起人制度を採用する ②試行銀行には少なくとも2名の発起人を必要とする ③単一の株主の持株比率に関する規定を順守し、試行プランの制定に参与した資本が参加する という条件が提示され、アリババグループ、万向集団公司、テンセント、百業源、均瑶集団、復星国際、商匯、華北、正泰集団、華峰集団などの資本が参加しました。政府がネット金融公認したことで、アリペイの余額宝が漸く市民権を獲得し、これを契機に、民生銀行の如意宝、テンセントの理財通、百度の百賺、蘇寧電器の零銭宝、興業銀行の掌櫃銭包など、理財商品が続々参入、2014年7月には遂に民営銀行3行の設立が認可されましたが、その後の動きは次回に。

三瀦先生のコラム