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第706回 中露関係緊密化?
(2016年2月8日)
“一帯一路”政策の推進やシルクロード経済ベルト構築の母体になっているのは上海協力機構、その中心は言うまでもなく中国とロシアです。ウクライナ問題で西側の制裁を受けているロシアと、南シナ海問題で日米豪やアセアン諸国から顰蹙を買っている中国が共同戦線を結び始めていることは周知のとおりですが、ここ2年、両国の間では具体的にどんな動きがあったのでしょうか。
習近平とプーチンは2014年に計6回会談し、同年5月に<全面的戦略的パートナーシップ新段階に関する共同声明>に署名、10月には1500億元(約2兆6000億円)の<通貨スワップ協定>(期間3年)を結びました。2015年3月にはモスクワ取引所で人民元の先物取引も始まりました。両国が2014年に調印した主要協力文書は90件を超え、中国からは主として機械電力類が、ロシアからはエネルギーや原材料がドル建てで輸出され、既に中国はロシアにとって最大の、ロシアは中国にとって9番目の貿易パートナーになっています。
2015年、4月、メドベージェフ首相はハバロフスクで極東地域社会経済発展会議を主催、中国の力を借りて極東経済開発を進める方針を示しました。ロシアは既に2013年にプーチン大統領が「シベリアと極東の開発は21世紀におけるロシアの優先任務であり、これによってアジア太平洋経済圏に参入する」と明言しています。
同年5月にモスクワで挙行された大祖国戦争勝利70周年記念軍事パレードには習近平国家主席が参列、中露の結束を誇示する共同声明を発表してシルクロード経済ベルト建設で密接に協力することを確認しました。具体的には貿易の発展、相互投資や国際経済協力区建設の推進、物流と交通インフラの整備、金融協力の強化などがあげられました。
交通インフラで注目されたのが、同年6月にハルピンを出発した、最初のハルビン−欧州国際貨物列車。ハルビン−満洲里−シベリア−モスクワ−ポーランド−ドイツ・ハンブルグの全長9820キロを走り、従来海運で40日かかったのを15日で走破します。今後、週一回運行しますが、自動車部品や電子機器を満載した欧州行きに対し、帰りが空にならない工夫が求められます。同じ6月、北京で中露天然ガスパイプライン東線中国国内部分起工式が行われましたが、シビアな価格交渉で一致点が見いだせれば、今後の更なる進展も期待されます。