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第707回 進む食品安全への取り組み
(2016年2月15日)
中国人来日爆買い現象も主な原因の一つは自国内の食に対する不信感から。国内消費を経済成長の中心に据えるにはまず食の安全確保が必須です。2015年3月、国務院は<2015年食品安全重点活動計画>を策定、①重点的な領域・食品・地域の監督強化。②食品安全法と実施条例、農業製品品質安全法など法律法規の整備と、国情に合い、国際的にも通用する食品安全国家基準体系の整備。③監督官庁の責任の所在の明確化と連携システムの構築。という方針を打ち出しました。
その後は矢継ぎ早に、まず6月に、ウォルマート、カルフールなど全国50企業8000店舗が参加した<食品安全をチェーン企業に>キャンペーンを開始、9月には<食品リコール管理法>も実施、同年10月になると<新食品安全法>を実施して、トレーサビリティの促進、禁止農薬・添加物使用に対する厳罰化を打ち出し、2015年末には、1100余項目から成る国家食品安全基準体系が構築されました。
こうした動きに沿って食品安全チェック体制も大幅に強化されつつあり、2015年2月、国務院は<食品安全責任保険試行に関する指導意見>を出し、各地の試行状況をその地方の安全取り組み評価項目に組み入れ。企業の取り組み度は企業の信用記録に算入することとしました。その対象企業は、肉製品・食用油・酒類・保険食品・幼児向け粉ミルク・液体乳・ソフトドリンク・菓子類などの生産加工企業と飲食提供企業に及んでいます。
同時に森林環境下の野生・人工栽培・人工養殖の動植物・微生物を材料とした食品を対象に中国森林食品認証基準もできました。北京ではすでに2014年末時点で8200名の食品薬品安全情報員を配備して、もやし・カット野菜果物・牛肉・羊肉などの生産許可審査細則を整備し、更に2015年には全市に500ヶ所の監視測定ポイントも設置、翌2016年1月には、冷凍食品を生産許可証の管理下に置きました。
有機食品も急速に普及し始めています。2014年統計で、中国は既に世界第4位の有機製品生産消費国となっており、有機生産面積272.2万ha、有機製品認証証書発行数1万枚以上、有機製品生産加工認証企業6000社以上、有機製品生産総額800億元以上に達しました。2015年には、北京市・天津市・河北省が共同で農薬残留検査合格率100%病虫害安全防御野菜モデル基地80ヶ所を建設、政府は2020年に化学肥料使用量ゼロ成長達成と発表しています。