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第708回 西南地域の発展
(2016年2月22日)
“一帯一路”の“一路”の玄関口として、福建省と並んで脚光を帯びている西南地域((南昆貴経済圏)。新たな胎動が随所に芽生えているので、そのいくつかを見てみましょう。
2015年9月22日、“粵桂黔高鉄経済帯合作試験区【広東園】”(雲南省・広西チワン族自治区・貴州省高速鉄道経済ベルト協力実験区【広東園】)の建設が広東省仏山市南海区で始まりました。このプロジェクトの意図は、“一帯一路”戦略を見据え、2014年12月に開通した貴陽-広州、南寧-広州両高速鉄道経済ベルト協力枠組み合意を実行に移し、珠江-西江経済ベルトとも連動し、更に汎珠江デルタ経済圏(長江以南のほとんどの一級行政区を網羅し、なお且つ、その中に海峡西岸経済圏*福建省、珠江デルタ経済圏、南昆貴経済圏、成渝経済圏*四川と重慶を含む二重構造経済圏)の一翼を担うことで、仏山市ハイテク区を足場に全体のプランを構築しようというものです。同日からの投資相談会では71件、総額1000億元にのぼる商談が成立しました。
貴州省はまた、2015年6月に滬昆(上海-昆明)旅客線の懐化-貴陽間開通により長沙-貴陽間が従来の12時間から3時間短縮されたのを契機に、湖南省と共に沿線10数都市を結ぶ“湘黔高鉄経済帯” 協力枠組み合意も締結しています。
去る2014年12月、雲南省昆明から広西チワン族自治区北部湾に向かう初の快速直通貨物輸送列車が発車しました。両地区間には既に輸送能力の高い南昆鉄道がありましたが、鉄道輸送と海運との接続が悪いために、雲南省は海のシルクロードへの重要な出口である北部湾を十分活用することが出来ませんでした。この貨物輸送が実現したことで、西安-成都-昆明-重慶を結ぶ西部菱形経済圏というパンタグラフが名実ともに“一帯一路”の懸け橋となりました。何より、道路・鉄道・海運など様々な形式の連絡輸送業務処理を一括で済ますことが出来るようになり、いままで鉄道と港湾の間を駆けずり回って煩瑣な手続きや輸送に精力を注がなければならなかった企業にはこの上ない朗報となりました。
最近注目されているのが西江中流に位置する広西チワン族自治区貴港。上流に南寧、下流に珠江デルタを擁するこの港の発展は目を見張ります。年間吞吐量は2014年には既に5000万トンを超え、西江経済ベルト発展の中心になっています。