企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

 第713回 宝くじ

(2016年3月28日)

2014年に2000億元の大台を突破し、2059.68億元(前年同期比294億元、16.67%増)を記録した全国福祉宝くじ。国のために570億元余りの公益金を集めた、と自画自賛されました。地域別では広東省が206億元と、地域としては初めて200億元の大台を突破しています。
こうした公益資金は、主に社会保障・教育補助・身障者事業・医療補助などに当てられていたはずです。しかし、最近、宝くじの運営・管理に対して疑惑を生じさせるような事柄が次々と発生していました。このため、2015年一月に発生した当選くじ発表に関する遅延事件では、ネット上で様々な疑惑が飛び交い、透明性の確保が問われました。これほどの巨額資金となれば、その使途に関してきちんとした説明がなされなければなりません。背景には、安徽省黄山での豪華な訓練基地の建設、山東省青島の宝くじセンター元主任の4800万元の公金横領など氷山の一角とも言うべきここ数年の宝くじに関する何件かの不祥事があります。
こうした動きを受け、同年4月3日、財政部・公安部・工商総局・民生部など8部門が合同で公告を発し、ネットを利用して勝手に宝くじを販売する<ネット宝くじ販売管理暫定規則>に違反する行為を厳しく取り締まる方針が打ち出されました。ネットを使った代理購入や共同購入など様々な方式での販売や、国の公益宝くじを詐称した私的宝くじなどがやり玉にあがりました。また、中国福祉宝くじ発行管理センターや国家体育総局スポーツ宝くじ管理センターが宝くじの発行方式を変更するときはネットなども含め、必ず財政部の審査を受けることも再確認されました。宝くじ全体については既に<宝くじ管理条例>や<同実施細則>があるわけですが、それがきちんと守られていなかったことを如実に示していると言えましょう。
ネットによる宝くじ販売自体は積極的に推進されています。2010年には財政部から上述の暫定規則が出て、関連業務の許認可・販売・資金・安全・監督検査について規定され、2012年には
<ネットスポーツ宝くじ販売試行関連業務展開に関する通知>によって民間企業に宝くじ販売業務が委託されました。
6月25日、会計検査院が宝くじ資金審査結果を公表、抜き取り調査658.15億元の25.73%に達する169億元もの違法な使用が明るみに出ました。中でも、詐取されたり流用された資金は42.87億元に上っていて、轟轟たる非難の声が起こり、政府は対応に追われています。

三瀦先生のコラム