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 第714回 一人っ子政策転換後

(2016年4月4日)

2013年の18期三中全会でそれまでの“双独二孩”(両親が一人っ子なら二人生んでも良い)から“单独二孩”(片親が一人っ子なら二人生んでも良い)へ、さらに2015年の18期五中全会で“单独二孩”から“全面二孩”(どの家庭も二人生んでよい)へと条件緩和を打ち出した中国。急激な方針転換には二つの理由があります。
第一は労働力の減少。中国におけるいわゆる人口ボーナスは、2012年を頂点として労働力が減少傾向に入ったことで徐々にその力を失っています。その一方で高齢化は待ったなしで進み、2035年には33%に達すると予想され、介護の問題も含めたプレッシャーが人口政策の緩和につながったことは疑いもありません。
労働力不足の問題は、一方で同時に発生している大学生の就職難と考え合わせると、経済構造と労働力の資質のミスマッチという側面も無視できませんし、先進地域では、労働力不足を補うための産業ロボットの導入も急ピッチで進んでいます。そういう意味では地域により状況はかなり異なり、出生率にしても、大都市や沿海部に比べ、西部地区や中小都市はかなり高くなっています。
2013年の方針変更を受け、2014年には全国で106.9万組の“一方が一人っ子”の夫婦が第二子出産申請を行いました。“单独二孩”の対象として認定される夫婦の数は1100万組(約70%が“八〇后”)、そのうちの60%が今後4、5年以内に二人目を希望しており、これらの点を勘案すれば、妥当な数字と言えましょう。2015年12月27日、全人代常務委員会は一人っ子政策を規定している<人口と計画出産法>の改定を正式に決定、 “全面二孩”が正式に実施されることになりました。2016年にどういう結果が生まれるか注目されます。
農村部では出産に対する概念の変化も見られます。女児に対する偏見がやや改善に向かっており、子沢山を尊ぶ風潮にも変化が見られます。したがって、二人目が解禁になったことが農村部でどう反映されるかにも関心が寄せられています。
子供二人を認めたことで、二人目が欲しくても政府の政策に従い、一人っ子を守ってきた家庭や、その一人っ子を早く失って寄る辺をなくした老人に対するケアも忘れてはいけない問題としてクローズアップされています。

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