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 第734回 国内観光の発展−その2−

(2016年8月29日)

観光先でのトラブルを迅速に解決するため、江西省南昌市湾里区裁判所は地区内の観光中心地梅嶺風景区に観光即決法廷を設置、各観光スポットの入り口には同法廷への24時間ホットラインも設置され、同年10月は、国も、国慶節休暇にあわせ、12301番の国家旅游局苦情受付電話を設置しています。また、国は、2015年から、問題あり、と認定されたA級風景区の指定を取り消すこととし、同年4月には44のA級地区が指定取り消し処分を受けました。
同年8月、国務院弁公室は、夏の短期休暇として、金曜日の午後と土日を組み合わせた2.5日休暇の積極的な設置を呼びかけるなど6方面24条の具体的提案を盛り込んだ<観光への投資と消費を一層促進することに関する意見>を出し、観光業発展に本格的に取り組む姿勢を示しました。「観光業の発展は現代的サービス産業の発展をも促し、人々の就職や所得向上にも寄与し、生活の向上に役立つ」というのがその趣旨です。 また、同年10月には3箇所の温泉を含む中国初の17の国家レベル観光リゾート地区が発表されました。
中国はきわめて豊富な観光資源を擁し、たとえば、世界遺産は48箇所にも達し、世界有数の世界遺産大国になっていますが、その一方で野放図な観光資源開発などの影響で深刻な破壊も被っています。儲け主義もその一因ですが、国レベルの風景名勝地区225箇所に対する国の補助金が総計年2300万元、一箇所あたり平均わずか10万元足らず、というのもその一因。前回述べた入場料徴収問題には背に腹は代えられない一面もあったのです。これに対し、「観光地区を公益性地区と商業性地区に分けて対応すべきだ」との意見も提起されています。
国内観光で最近脚光を浴びているのが“農家楽”とも呼ばれる農村観光。「村の魅力再発見」はブームにもなっていますが、サービスの質が大きな問題になっています。そこで、北京市延慶県では農村観光統一管理基準を設け、ホテル同様“星級制度”を実施することにしました。そのうち、「五つ星の農村」などという言い方が広まるかもしれません。日本の平松守彦さんが中国に持ち込んだ「一村一品」という言葉がここでも援用され、それぞれの村に特色ある観光を育てよう、という運動に発展しつつあります。
政府は又、観光地の発展を後押しするために、秩序だった観光用地の供給にも取り組んでいます。乱開発を阻止し、用地を計画的に確保するこの取り組みも注目されています。

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