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 第七十四回  穀物の話題

 中国は世界最大の穀物消費国。約7000年前、既に農耕を行っていたことは、仰韶文化や河姆渡文化の発掘で実証されていますが、現在、世界の10%に満たない耕地で世界の22%の人口を養っており、生産高も40年前の2億トンから2002年には4億5710万トンにまで増加しています。
 その中国の食糧システムに大変革が起こっています。2002年4月の全国食糧局長会議 で温家宝副総理は「今年は食糧流通体制改革の鍵となる年である」とはっぱをかけました。食糧の安定供給にはまず備蓄倉庫の充実が不可欠。政府は1998年に<食糧流通体制改革深化に関する決定>を出し、2002年末までに334億元をかけ、1129箇所の備蓄倉庫を新設しました。しかし、備蓄が増加すればそれでよいというものでもありません。
北京市では一時、備蓄量が58億kgに達し、保管補助費は年間10数億元に達しました。そこで、全国200あまりの業務部門と提携し販売価格を調整、競売を行い、2002年 6月には在庫を半分に圧縮、また、古い食糧の整理によって備蓄食糧の質の向上も果たしました。同時に企業改革にも着手し、大型中型企業には現代的な企業制度を取り入れ、中小企業は130社あまりを閉鎖させました。更に、2002年8月1日から、全国に先駆けて<北京市備蓄食糧管理方法>を施行、北京のあらゆる卸売市場と30あまりの国 有食糧企業を網羅し、国内外の関連市場の動向を把握した市場情報調査ネットをスタ−トさせました。
2001年に国務院が一部の省や市の食糧市場の開放を認めて以来、浙江省、湖南省、安徽省などでは積極的な改革が次々に進められています。浙江省では、2001年から食糧 市場が開放され、様々な所有制企業や省外からの参入も認められるようになりまし た。これまでの自給自足、需要に応じた自前生産から、食糧を市場メカニズムに頼り、省外の主要食糧生産地域から導入することに切り替えたのです。既に、吉林省、 黒龍江省、湖北省、江西省とは、毎年85億kgの長期食糧売買協力関係を構築しています。
この改革によって、これまで穀物生産に従事していた浙江省の農家は、野菜、花、茶、シイタケ、イチゴなど様々な商品作物を栽培し、収入の大幅な増加を実現しまし た。交通インフラの発達と市場取引の活性化は、今、中国の農村を大きく変えようと しています。

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