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第742回 農業科学技術化への取り組み
(2016年10月24日)
農業の近代化が情報化・工業化・都市化とともに“四化同歩”と称されたのは2012年中国共産党第18回党大会。中国では近年農業近代化に国を挙げて取り組んでおり、その成果も徐々に表れています。食糧増産における農業科学技術の貢献率は50%を超え、機械化率も60%を超えた、とのこと。北京国家現代農業科技城は建設5周年を迎えてその成果を謳い、1997年に成立した陝西省楊凌国家農業ハイテク産業モデル地区では2015年に第22回農業ハイテク成果博覧会が催され、一帯一路戦略に重ね合わせて、その成果が大々的に報じられました。
最近の新聞を見ても、温室栽培・水耕栽培が盛んになり、有機野菜や花卉の栽培が盛んにおこなわれるようになり、工場など科学的管理下での育苗も普及、小型ヘリやドローンでの播種や農薬散布、科学的農薬使用法や施肥方法などの知識の普及にも力が入れられていますが、そんな中、今注目を集めているのが「職業農民の育成」です。
2012年、陝西省西咸新区にある灃東新城農博園は地元の農民のための雇用データバンクを立ち上げ、固定雇用と臨時雇用に分けて多くの農民を園内の仕事に吸収し、2015年にはその数、2000名に達しました。地元の一般農民の耕作収入が月平均1500元なのに対し、彼らは1800元で、さらに地代も得られるのです。水耕栽培など土無し栽培を主とした同園は新しいタイプの農民を育成する重要な基地として脚光を浴びています。従来、降雨量が非常に少ない黄河中流域ではこういった新しい科学農法の普及が何より渇望されているのです。
隣接する寧夏回族自治区でも、マルチングを使って黄土を固定し、そこに開けた穴に播種をするやり方で芹菜を育て、成功しています。その畑では、専門の技術員が生育過程を一貫してフォローしています。銀川市の賀蘭県新平新区は西北地区最大の大規模温室栽基地ですが、同自治区では2015年を寧夏新型職業農民育成プロジェクト元年と位置付け、自治区内22の県(市・区)の畑で夜間学校を開いています。この地区で今特に力を入れているのは、寒冷少雨でも栽培可能なジャガイモです。
ただ、こういった試みも、一方では、信用社の融資利息が高い、農業銀行の敷居が高い、土地経営権の委譲が認められないなど、資金難が大きなネックになっています。これでは画竜点睛を欠く、と言われても仕方がなく、適切な対応が求められています。