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第745回 スポーツ界の話題あれこれ−その1−
(2016年11月14日)
人民日報と中国体育報が選出した2015年スポーツ十大ニュースで一位を占めたのが2022年の張家港への冬季オリンピック招致成功で、第二位が<中国サッカー改革発展総合プラン>の提示でした。後者についてはすでに当コラム684号で詳しく紹介しましたが、その後1年間、人民日報に掲載されたサッカーに関する記事は膨大な数に上り、その異常ともいえる取り組みには目を見張るものがあります。また、冬季オリンピックに関しては、これを契機に、ウインタースポーツの振興を図る機運が顕著で、すでに申請時点でも“大众冰雪”というコンセプトが提示され、「ウインタースポーツ人口を3億人に」という目標も掲げられていましたが、2015.8.6付人民日報には「冬季オリンピック効果をどうやって最大限に引き出すか」と言う対談形式の記事が掲載されています。
2015年に発表された中国のスポーツ人口はおよそ3.64億人、政府は2025年にはこの数を5億人、即ち全人口の3分の一以上に増やす計画です。それに向けて今、様々な側面から取り組みが始まっていますが、その第一は何よりもスポーツ設備の充実でしょう。2016年から始まったスポーツに関する第13次5か年計画の内容を見ると、2020年には国民一人当たりのコート・グラウンド面積を現在の1.46㎡から1.8㎡に増やすとしています。そのため、政府は<スポーツ産業発展とスポーツ消費促進に関する国務院の若干の意見>に伴い、2016年からスポーツ施設に関する不動産税・都市土地使用税を免除する方針を打ち出しました。以前から推進されている学校のグラウンドなどの開放も積極的に推進されていますが、有料開放がビジネスになって、学生生徒の本来の活動に支障をきたすことも懸念されています。
スポーツに関する記事を分析すると2つの大きな特徴が見いだせます。一つは「スポーツ産業に春が来た」というスポーツビジネスのヒートアップ。もう一つが、競技スポーツから国民全体のスポーツへ、健康をボトムアップする健康スポーツへ、という流れです。前者については、「2020年には全国のスポーツ産業の規模が3兆円に達する」と推定され、その育成に関し、人民日報にも2015年末〜2016年春にかけて「資本篇」「環境篇」「産業篇」「消費篇」「政策篇」と分けて詳しく論じた記事が掲載されています。
後者の総合的議論と学校スポーツの振興については次回に。