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 第746回 スポーツ界の話題あれこれ−その2−

(2016年11月21日)

昨年(2015年)1月から人民日報に<スポーツ改革をいかにして根付かせるかに関する思考>と題するシリーズが掲載されました。冒頭の文では今次の改革を「第二の創業」と称するとともに、スポーツ界の現状に対する、今を時めく中央巡視組の厳しい糾弾に触れ、従来、特に2014年におけるスポーツ界の様々な醜聞、旧態依然とした体質を容赦なく批判しました。「雑念を捨て、真摯な姿に立ち返り、しかるべき責任を果たせ」と。
これまでの中国スポーツ界は金メダル至上主義で、民間で構築されるべきスポーツネットワークより、国により単一化された行政管理システムが圧倒的に幅を利かせ、それがまさに汚職の温床にもなっていたのです。行政が民間の自由なスポーツ振興を圧迫する、これでは健全なスポーツが社会に根付くはずがありません。
2008年のオリンピックはこういったあり方に疑問を投げかける良い転機になりました。多種多様なスポーツを目の当たりにし、国民が大衆スポーツに目覚めたのです。ここから、スポーツを競技スポーツと大衆スポーツという異なる概念に分けて考えようという機運が醸成され始め、この壁をどうやって打破するかが喫緊の課題となったのです。勿論、両者は密接な関係にあり、「大衆スポーツは発展の土壌であり、競技スポーツはその成果の一つである」という認識は共有されたようですが、その土壌を養うには、地域によってはきわめて不十分なスポーツ施設の整備や、学校スポーツ振興の位置づけも大きな課題になっています。
学校スポーツの振興、とりわけ習近平総書記のお声がかりによるサッカーの学校教育への大規模な導入が行われている中、コーチの不足が問題になっていますが、「コーチの不足とスポーツ教師の不足を混同してはならない」という注目すべき論調も現れました。「スポーツ教育は競技に上達するだけでなく、自律的な習慣を身につけたり、誠実に努力することを学んだりすることも大事だ」という至極もっともな意見です。
一般社会での健康スポーツの普及にはさらに多くの指導者が必要ですが、それを政府が担うのではとても無理で、自発的な民間組織の活躍が期待されます。その上で、行政側がそれをいかにサポートするか、が問われます。競技スポーツの成果維持のために大学スポーツの見直しも急ピッチですが、教育の本義が失われないよう細心の注意が求められます。

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