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第757回 社区と医療−その2−
(2017年2月13日)
2016年5月に国家衛生計画出産委員会と中医薬監理局から<より一層社区衛生サービス管理を規範化し、サービスの質を向上させることに関する指導意見>が出され、6月には国家衛生計画出産委員会など7部門共同で<ホームドクター契約サービス推進に関する指導意見>が出されました。それらには前述の2015年4月に示した内容が盛り込まれ、契約医師団形成の強化も求められています。
医師団は2〜3級の上級医院の医師と末端医療衛生機関の医師で構成され、管轄区域の広さと人口に応じてチームの責任地区を合理的に配分し、ネットワーク化された管理により住民の健康管理業務を担当します。住民各々と契約を結び、当初はまず、老人・慢性病患者、重度精神障碍者、妊産婦、児童、障碍者などから着手し、徐々に一般人へと範囲を拡大する予定です。勿論、社区内の行政機関・学校・オフィスなどに対しポイントを絞った基本的医療を行ったり、社区内衛生活動への積極的住民参加を推進し、慢性病患者の会や互助グループの結成、家庭保健員の育成などを通して自主管理に対する住民の意識向上も図ります。2020年にはこのホームドクター契約サービス制度で全国をカバーする計画になっています。
こうした身近なケアには様々な期待がかけられています。最近、中国では小児科医の不足が大問題になっていますが、その原因の一つが、核家族化による子育て経験の断絶です。日本でも同様の現象が見られますが、子供の祖父母と別居していることで、新米の親は、子供の異常に遭遇した時にどう対処してよいかわからず、些細な変化でもすぐ病院に駆け込みます。一人っ子が多いということはほとんどの親が子育て未経験、しかも大事な一人っ子ですから、余計神経過敏になります。ホームドクターがいれば、常日頃から家庭状況や子供の体質もわかっていて、かなり安心できます。現時点での中国の小児科医の数は児童1000名当たりたった0.49人で、主要先進国の0.85〜1.3人と比べると半分程度に止まっています。2016年5月に国家衛生計画出産委員会と中医薬監理局から配布された<児童医療衛生サービス改革発展意見に関する通知>では、2020年に児童1000名に対してベッド数2.2台、小児科医0.69名を、更に各郷鎮の衛生院や社区の衛生サービス機関に少なくとも1名の総合医を配置し、基本的な小児医療を提供できることを目標として掲げています。