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 第761回 牧畜業の変化−ウシとブタ−

(2017年3月13日)

中国の牧畜業と言えばまず思い出すのが、赤ちゃん用粉ミルクなど、製品の質が様々な物議を醸した乳業の問題を思い起こします。2009年以降、国産の原乳は7年連続サンプリング調査合格率100%と報道されても、広州市ではいまだに「国産品は信頼できない」とする消費者が40%を超えている、とのこと。2016年以前の2年間を見ても、国産粉ミルクは依然苦境に晒され、50%以上の値下げに追い込まれた製品もあり、貝因美のように、児童食品ブランドに衣替えしてようやく苦境を脱する企業も現れました。ただその一方で貝因美は、13億元を投じて年産10万トンの生産基地を黒竜江省の安達に建設、スウェーデンやドイツの先端生産設備を導入して巻き返しを図っています。2016年はまさに中国政府が本腰を入れて国産乳業の再興に力を入れ始めた年であり、8月には、中国乳業会のトップ20企業サミット兼乳業振興大会が河北省の石家庄で開催されました。例えば君楽乳業は、低温牛乳・常温牛乳・粉ミルクなどを同時に生産する体制を整えると同時に、製品の品質向上のため独自に厳しい管理基準に基づく自前の牧場を立ち上げ、中国栄養学会と共同で幼児向けの配合方法を研究するなど努力を重ね、粉ミルクは輸入モノに負けない販売実績を達成、伊利グループ・蒙牛乳業なども負けじと活発な動きを見せています。同年5月、北京に第三者機関、中国乳業協会品質検査センターが開設され、政府と業界の懸け橋となって国産乳業発展を推進することになりました。今後の成果が期待されます。
肉牛の飼育も増加傾向で、総生産量は2014年に世界第三位に躍り出て、世界の牛肉の10%を占めるまでになりました。重慶市の豊都県は中国肉牛の郷を目指して県全体で4.2万世帯の農家が33万頭の肉牛を飼育(2015年末時点)という報道もありました。
これに対し、長年にわたり、需要と供給のバランスが悪く、消費価格全体の上下にその都度少なからぬ影響を与えているのがブタ。2016年も前半の価格上昇につられて農家が飼育数の増加を図り、その結果、下半期の価格下落危機が懸念され、政府は5月に「理性的な飼育数・出荷数」を呼びかけなければならない羽目に陥りました。養豚技術の向上により、養豚場のブタはわずか半年で出荷が可能になりつつあり、それ自体は喜ばしいことですが、それだけ需要と供給の関係の変化も早くなっています。

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