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 第762回 牧畜業の変化−ヒツジ、ロバ、ニワトリなど−

(2017年3月21日)

内モンゴル自治区と言えばヒツジを飼育する牧畜業が盛ん。しかし、2016年春は大変な苦境に見舞われました。価格が大幅に下落し、1キロ8元とほとんど史上最安値(?)になってしまったのです。2年間飼育して一頭3〜400元ではたまったものではありません。
この苦境を乗り切るため、同自治区五原県では先端科学技術を導入して、これまで利用できなかったトマトの皮や穀物のワラ、草木など地元で豊富に手に入る材料を処理、飼料不足を解消し、さらに飼育を機械化してコストを削減、また、屠殺-解体−包装-冷蔵生産ラインに先進設備を導入して品質を向上させ、その一方で、ヒツジの糞便による有機肥料の生産、メタンガスによる発電も進めました。内モンゴル自治区では今、ビッグデータを使ったトレサビリティの整備が始まっています。こういった工夫は他の地域でも様々進められていますが、ヒツジと言えば羊毛も一大産業。新疆生産建設兵団科学実験大院では毛の細かいヒツジの品種改良が精力的に進められ、全国25の一級行政区にその成果を普及させています。
最近脚光を浴びているのがロバ。ロバ製品と言えばロバ肉か阿膠(皮から作るにかわ。止血・補血の効果がある)ですが、ロバの乳はセレン含有量が牛乳の八倍、ビタミン含有量は牛乳の五倍あり、抗酸化作用・老化防止効果に優れ、免疫力も高めることがわかりました。
「クレオパトラも飲んでいた!」ロバ乳人気はロバ酪農家にとってまさに朗報。山東省では一頭の雌の搾乳期間は六カ月続き、一日に一キロ程度搾乳できるので、一頭あたり五〇〇〇元以上稼ぐことができるとのこと。新疆の達瓦昆牧畜科技は最近、小規模生産者がこの大市場に参入できるようロバ乳加工工場を建設しました。
環境保護と合体させてニワトリの放牧を始めたのは青海省。草原の劣化を防ぐため、牛や羊が放牧禁止になった草原にニワトリを放し飼いにし、害虫駆除に利用しながら美味しい肉やタマゴが獲れる地鶏も育てようという一石二鳥。
2016年7月、内モンゴル自治区の包頭に中国初の畜産品取引所「内モンゴル大口畜産品交易所」がオープンしました。包頭市のすべての関連企業がネット上のプラットホームを使って生産物を販売、SGS製品検測機構やトレサビリティによる品質保証を提供するこの方式は、今後、全国に広がるでしょう。

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