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 第764回 新エネルギー車−その1−

(2017年4月3日)

2017年に入って、中国での新エネルギー車の不振がクローズアップされています。その一方で、トヨタのハイブリッド車などの健闘が顕著で、日本の新聞でも「日系企業にチャンス」といった記事が登場したことは記憶に新しいと思います。
2012年に打ち出された<省エネと新エネルギー車産業発展プラン2012-2020>では、「2015年に電気自動車とプラグインハイブリッド車の合計販売台数50万台」と言う目標が掲げられました。その後、PM2.5による大気汚染の元凶の一つとして自動車の排ガスが槍玉にあがったこともあり、政府は2013年に<新エネルギー車普及応用活動を引き続き展開することに関する通知>を発し、この方針に基づいて、その後、新エネルギー車(電気自動車、プラグインハイブリッド車など)の普及促進、購入時の多額の補助金、自動車取得税の免除、ナンバープレートの提供などの優遇措置を打ち出しました。その結果、2016年1月に発表された政府統計では、2015年の新エネルギー自動車生産量は前年比5倍にあたる37万9000台(乗用電気自動車14.28万台・前年比4倍、乗用プラグインハイブリッド車6.36万台・前年比4倍、商用電気自動車14.79万台・前年比9倍、乗用プラグインハイブリッド車2.46万台・前年比1.79倍)と言う数字が踊りました。しかし、1年経った2017年1月の新エネルギー車販売量はわずか5682台、前年同期比74.40%減となりました。一体、何が起こったのでしょうか。
まず、補助金の減額が挙げられます。2015年4月、政府は、新エネルギー車に対する補助を2020年まで行うとし、2016年には一台当たりで2.5万〜5.5万元補助するとしながらも、2017-2018年は2016年比20%減、2019-2020年は同40%減とする方針を打ち出しました。
政府がこういった方針を打ち出した背景には、補助金政策に依存した結果、国産車における技術開発が遅れている現状があります。生産コストが高い、走行距離が短い、充電時に安全上の問題があるなど、改善が遅れているのです。主に企業向け奨励金に頼って業績を挙げている国内企業も目につき、また、奨励金目当ての不正も横行、政府が2016年に行った調査では、企業の不正取得額は100億元にも上り、政府は不正企業名の公表に踏み切りました。
一方、補助金の支給方法に関する不正な闇操作も同様に横行し、政策上での手詰まり感は否めません。

三瀦先生のコラム