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第766回 ドローン産業その後の発展
(2017年4月17日)
出現当初はところかまわず空撮できるマイナス面がクローズアップされがちだったドローンも、これまでにない特性が様々な分野で認められ、そのニーズは急速に広がっており、中国からは険しい山岳地帯にある電力設備の点検や農薬散布への応用といったニュースも伝わってきています。2016年4月、人民日報は、中国国内のドローン操縦希望者がすでに10万人を超えたと紹介しました。このドローンの開発で目覚ましい成果を挙げているのが中国の若者たち。例えば、広東省深圳にあるDJIは、創業僅か10年あまりで社員は4000人を超え、この成功に刺激され、深圳では、その電子機器部品工場の高度な集積環境を生かして、続々と後を追うドローン製造企業が誕生、様々な用途に合わせた機器の開発に取り組んでいます。中国全国のドローン製造企業は2016年時点で400社を超え、世界のドローン市場の7割を占めていますが、この面では日本企業は全く後塵を拝しています。
もちろん、ドローンは使用方法によっては治安維持や機密保持の脅威となる側面もあり、これにどう法の網をかぶせるかは、中国のみならず、各国政府にとっても頭の痛い問題です。中国では2009年に民用航空局が<民用無人機空中交通管理規則>とその管理に関する暫定規定を出し、2013年には操縦者に関する暫定規定も設けました。しかし、操縦資格合格者は2015年末時点でなお3000人に満たず、安全上の問題が憂慮されました。2016年1月、基準化協会理事会及び技術委員会成立大会で、<ドローン関係述語>と<民用無人機の分類と級別>と言う2つの基準が発表され、ドローンの野放図な発展に歯止めをかけ、健全な発展を促す具体的歩みが始まりました。前者はドローンの生産・消費・使用・監督について6方面の述語を定義したもので、後者は安全監督管理と開発生産に関して16の分類・級別を定めたものです。同年7月には民用航空局から改訂版<民用無人機操縦者管理規定>が正式に発布され、7段階の最新分類定義も示されました。
2016年2月、安徽省で同省初の公認ドローン操縦者学校が開校しましたが、今後、こうした動きは各地に広がって行くでしょう。2017年春の全人代で代表の一人が、低空飛行に対して公安部が打ち出した厳しい方針に対して、一刀両断型の規制はドローンの発展を妨げると異論を提起しました。この問題にどう対処するか、まさに政府の姿勢が問われています。