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第769回 一帯一路の取り組み−その2「一路②」−
(2017年5月8日)
海のシルクロードの拠点と言えば、福建省・広東省の以外に広西チワン族自治区があります。日本人にはあまり馴染みがないのですが、その重要性は地図を見れば一目瞭然。アセアンとの接点と言えばまず雲南省ですが、同省はベトナム、ラオス、ミャンマーとは接しますが、海に面していません。対して広西チワン族自治区は陸ではベトナムと接するだけですが、南部は広大な北部湾に面し、東から北海・錦州・防城の三大港を抱え、その真北に区都、南寧があります。21世紀初頭、江沢民は西部大開発という大西南発展計画を推進しましたが、雲南省昆明とこの南寧を結ぶ南昆鉄道、その延長にある三大港は同計画の大黒柱となりました。また、自治区東部では中国南部の大河、西江が珠江デルタへ連なり、貴港はその中心となって同区経済発展の一方を支え、西部は防城港市から西へ崇左市・百色市とベトナムに接し、防城港市東興、崇左市憑祥などが国境の都市として発展しています。90年代に中国が地域発展の三本柱として掲げた“三沿開放”(沿海・沿江・沿辺)の三要素すべてを備えているのがまさに広西チワン族自治区です。
広西北部湾経済区計画は2006年にスタート、10年余りを経て目覚ましい発展を遂げています。1600キロもの海岸線は海のシルクロードの拠点としての条件を十分備えていますが、以前は三大港が意地をはり合い、大きく発展することができませんでした。しかし、2007年に三港合併により北部湾港となり、漸く協調発展の基礎が出来上がり、2015年には吞吐量2億トンを突破する大港にまで成長したのです。アセアンとの協力も活発で、“中馬(中国−マレーシア)双園”、“中−印尼(中国−インドネシア)境外経貿合作区” の建設が進められ、“南寧−シンガポール経済走廊”の建設は東側の汎北部湾経済合作区と西側のグレーターメコン合作区とセットになり、“一軸両翼”という戦略構想を構成しています。
ちょうど1年前の2016年5月に南寧で開催された第9回汎北部湾経済合作フォーラムでは<中国−中南半島経済走廊建設唱議書>が採択されました。その中で、広西チワン族自治区の果たす役割の重要性はこれまでになくクローズアップされました。現在北部湾では、同港を利用する多くの海運企業と政府が協力して、港湾機能と鉄道機能を効果的に結ぶ物流システムの構築が精力的に進められています。