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 第770回 交通安全対策

(2017年5月15日)

モータリゼーションの時代に突入した中国ですが、同時に交通事故もうなぎ上り。危機感を覚えた政府は最近、交通安全にこれまでになく力を入れています。
「酔っ払い運転、定員オーバー、スピード違反、トラックでの違法人員輸送、過労運転、無免許、バスの違法営業、安全ベルト不使用」、以上は春節(旧正月)時の八大事故原因。子供用シートベルトの調査(2015年)では、60.6%の児童が乗車時にベルトを未着用、着用児童の37.3%が大人用ベルト、ベビーシートの使用も2割未満というのでは、子供の死傷率が高いのも無理はありません。
運転モラルも問題で、2015年には“路怒症”という言葉が流行りました。強引な車線変更などでけんかになることです。以前は互いに先を争い譲り合わなくても、自然のルールがあり、競い負けたら仕方がない、という雰囲気があったのですが、車が多くなりすぎたのか、危険が増大したのか、こらえ性がないドライバーも増えたようです。“車徳”という、運転モラルを呼びかける言葉も登場しています。
様々な取り締まりも展開されています。酔っ払い運転取り締まりはすでに2010年から実施され、関連事故は18%減少し、代行運転も延べ2億人以上の依頼があったとのこと。2015年9月9日には、公安部交通管理局などが全国初の飲酒運転拒否デーを実施、宣伝キャンペーンが展開されました。上海では2016年3月以来、史上空前の(?)厳しい取り締まりが行われ、当局は「前年同期比で摘発件数は7倍に達し、事故件数は40%減少した」と発表。一方、北京では5月に市の交通管理部門が専門チームを編成し、違反を逃れるインチキナンバープレートの取り締まりを行い、山東省では、重大な交通違反通報には最高1000元の賞金が約束されました。また、高解析監視カメラやドローンの使用も始まっています。
罰則の強化も様々。公安部交通管理局は2016年3月に、同年春節における違反摘発重点車両(公共バス、観光バス、危険化学物資運搬車、スクールバス)の運転手・企業・ナンバーなどを地元メディアで公開するよう各地の公安部門に指示しました。四川省・安徽省・上海などでも生涯運転禁止者リストが公表されています。通行人の赤信号無視も、2015年、四川省綿陽市で、20回を超えると街角で全市にその顔が放映され、話題になりました。

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