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第773回 京津冀発展計画の進展−その1−
(2017年6月5日)
人口過剰・交通渋滞・住宅価格高騰といった様々な社会問題、水不足や地下水の汲み上げすぎ、大気汚染など破綻寸前の環境問題、加えて、地域内の各行政地域が連携を欠き、機能的産業配置がなされず、北京市と天津市が突出して肥大化する一方、河北省など周辺の小都市や農村は発展が遅れて格差は開くばかり。そこでこれを是正しようと大号令をかけたのが習近平で、2013年に天津市と河北省を相次いで訪れ、京津冀の協同発展を強調、2014年2月26日には、都市群の再配置や市場の一体化などを含む7方面からの改革を提唱しました。
同年12月、中央経済工作会議は同計画を中国地域発展三大戦略の一つに組み入れ、翌2015年4月、中央政治局は<京津冀協同発展プラン綱要>を採択、「“一核”:北京の大都市病の解決 “双城”:北京と天津の関係強化と一体化 “三軸”: 京津冀協同発展を支える主要な枠組み、北京-天津、北京−保定−石家庄、北京-唐山-秦皇島の三産業ベルト “四区”:“中部核心功能区”・“東部濱海発展区”・“南部功能拓展区”・“西北部生態涵養区”の四機能区 “多節点”:各地域の中心都市(石家庄・唐山・保定・邯鄲等)と結節点都市(張家口・承德・廊坊・秦皇島・滄州・邢台・衡水等)」という骨組みを明確にしました。これに呼応して、同年7月には、北京市党委員会11期第7回総会で同綱要を実行するロードマップとタイムテーブルが提示されました。また、並行して同年9月には国務院が<環渤海地区協力発展綱要>を承認しました。環渤海地区とは、北京市・天津市・河北省・遼寧省・山東省・山西省・内蒙古自治区に跨り、華北・東北・西北地区が互いに結び付く地域を指し、この綱要は当該地域の協力発展に関する指導的思想と基本原則、更にその発展目標や合理的配置を示し、様々なインフラ、生態環境、産業の発展、市場の相互流通、社会保障などにおける具体的な取り組みを明確にしたもので、<京津冀協同発展プラン綱要>がその中核を為すことは明白です。
「“一畝三分地”(1ムーの土地を三分割する)を打破し、“一盤棋”(一緒に戦略を練る)を堅持しよう」とは京津冀発展計画のスローガンですが、それには長期プランが必要です。2016年春に発表された<第13次5か年計画期京津冀国民経済・社会発展プラン>はその表れと言ってよいでしょう。さらに掘り下げた具体的内容は次回に。